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「dream that cames true」



人物紹介


高野(タカノ):19
正夢をよく見る男。
声性別:♂

石田宏樹(イシダヒロキ):19
正夢をよく見る男の親友。
声性別:♂

直樹(ナオキ):19
交友場所を探す男
声性別:♂

オッサン:45
道路にジョウロで水をかけるオッサン
声性別:♂

母:?
直樹の母
声性別:♀

仁臓(ジンゾウ):31
悲しい男
声性別:♂

息子:5
仁臓の息子
声性別:♀or♂



サイドA




石田「よ、高野。こんな朝っぱらから公園に呼び出して何か用か?」

高野「…なぁ、石田宏樹よ」

石田「ん?」

高野「…お前ってさ、正夢みたことある?」

石田「…またその話か。あのな…」

高野「実は…」

石田「正夢見たんだろ?」

高野「え!?なんで分かったの!?」

石田「昔から何回もその件で呼び出されてんだ。分かるに決まってんだろ、あとフルネームで呼ぶな」

高野「お前頭いいなぁ」

石田「お前よりはな」

高野「それでさ、俺凄い夢見たんだよ!」

石田「へー。どんな夢?」

高野「あのさ!なんか夢で、包丁を買ったのよ!」

石田「…うん。」

高野「そんで、銀行に行ったのよ!」

石田「うん?」

高野「あ、お金おろしにね、そんで…」

石田「え?なんで包丁買ったの?」

高野「わかんない。そんでさ!」

石田「え?銀行に包丁は持ってったの?」

高野「当たり前じゃん。そんで…」

石田「え?」

高野「何?」

石田「…まぁいいや、続けて」

高野「で、銀行に行ってお金おろそうとしたら、おろせなかったの。」

石田「なんで?」

高野「預金0だったから」

石田「お前無職だもんな」

高野「うん。そんで”なんで金が入ってねぇんだよ!!”って窓口に言いに行ったの」

石田「タチ悪いな」

高野「そこは夢だからいいじゃん。で、銀行閉まるまで延々怒鳴り散らしたの」

石田「迷惑にも程があるだろ」

高野「俺短気だからさ」

石田「延々怒鳴るって短気とあんま関係ないけどな」

高野「仕方ねぇじゃん」

石田「何がだ」

高野「まぁ怒鳴ったわけよ!そしたら急に別アングルになって、銀行の入り口が映し出されたの。」

石田「ほう」

高野「そしたら俺大金持って出てきたんだ!」

石田「…ふーん。」

高野「…」

石田「…」

高野「…正夢っぽくね?」

石田「…え?」

高野「俺…億万長者になってみせる!!」

石田「いや…、無理だろ」

高野「大丈夫、包丁あるから」

石田「用意がどうこう言ってんじゃねぇよ、やめろっつってんだよ。」

高野「成せば成る!」

石田「成して成っちゃったらダメだから言ってんだよ。っていうかお前”夢だからいいじゃん”っつってただろ」

高野「…やっぱダメかな?」

石田「うん」

高野「…わかった。…じゃあお前は巻き込まないよ」

石田「…それならいいよ」

高野「よぅし!億万長者ぁああああ!!」

石田「…今度から人でなしって呼ぼう。」



サイドB



直樹「うん、うん。分かった。…ん?コウユウバショ?…どうゆう場所?…ん?交わるに…友と書いて…。あぁ、こうゆうって交友関係とかの交友か。ってどこだよ。…見れば分かるって…ん?もしもし?もしも〜し!…切れた。どこだよ。」

母「ナオちゃーん!もう朝よ!早くおきなさーい!」

直樹「もう起きてるよー。ちょっと友達と電話してたからー。」

母「もう朝ごはん出来てるからねー」

直樹「はーい」

母「はい、おはようナオちゃん!」

直樹「母さん、もうそんな幼稚園児みたいな呼び方やめてよ、恥ずかしいから。直樹でいいよ」

母「ナオちゃんはずっと幼稚園児なの♪」

直樹「何言ってんだよ、もう母さんの腹からズルって出てきて19年経つんだよ?」

母「そうだけど、っていうか気持ち悪い言い方するわね」

直樹「あ、そうだ、さっきの電話。9時集合って言ってたからもうすぐ出るよ」

母「あら、もう8時半過ぎてるじゃない」

直樹「え、やばい、じゃあもうご飯いいや、支度してくる!」

母「帰り遅くなるの?」

直樹「分かんない…けどご飯冷蔵庫に入れといて!」

母「はいはーい、あ、傘持って行きなさいね!」

直樹「え?雨降るの?」

母「天気予報じゃそう言ってるわよ?」

直樹「分かったー」

・・・

直樹「じゃあ行ってきまーす!」

母「はい、いってらっしゃーい…あれ?…ビデオ…え、昔の天気予報じゃない。ごめーん!ナオちゃーん!傘いらない…あれ、もう行っちゃった…?」

・・・

直樹「…雲一つないじゃん。本当に降るのかな?…っていうか、交友場所ってどこだ?すぐわかるって言われてもな…。目印目印…。…なんだあの人、道路にジョウロで水かけてる。変な人。……わかんない、よし、人に聞こう。って言っても、今見当たるのはあのジョウロだけか…。仕方ない…すいませーん!!」

オッサン「…ん?どうかしたの?」

直樹「あの、この辺りに、゛交友場所゛ってありますかね?」

オッサン「…こうゆう場所?」

直樹「はい」

オッサン「…いや、こうゆう場所はここにしかないんじゃないかな?」

直樹「あ、やっぱりこの辺りに」

オッサン「いや、この辺りっていうか…ここ?」

直樹「…え?」

オッサン「こうゆう場所はここしかないと思うよ?」

直樹「えぇ〜…そりゃ分かりやすい目印だけどさ…。…まぁいいや、ここなんですよね?」

オッサン「え?…あぁ、たぶん。」

直樹「そう…ですよね…」

オッサン「…君は、ここのこと知ってるのかな?」

直樹「え?全然?」

オッサン「へ?じゃあなんで来たの?」

直樹「あ、ちょっと待ち合わせで。」

オッサン「…あぁ、分かりやすい…から?」

直樹「そうなんでしょうかね。よいしょ。」

オッサン「…え?こんなとこで座るの?」

直樹「あ、ここで集まるんすよ」

オッサン「あぁ、え?…なんで?」

直樹「いや、なんでって言われても…」

オッサン「こんなとこで待ち合わせする人なんて見たことないよ」

直樹「いや、あの、俺は話を聞いて来ただけなんで…、っていうか、おじさんのが珍しいですよ、何してるんですか?」

オッサン「え?あぁ、水を撒いてるんだ」

直樹「いや、なんで撒いてるんだろうってことを…」

オッサン「あぁ、詳しいことを言えば長くなるが…」

直樹「別にいいっすよ、時間ならあるし」

オッサン「あぁ、そう?分かった。まずひとつ、このジョウロの中に入っているのは水じゃないんだ。」

直樹「何が入ってるんですか?」

オッサン「…サイダーだ」

直樹「えぇ!?何で!?」

オッサン「それは…」



サイドC



仁臓M「俺の名前は、仁臓。仁義の仁に、内臓の臓と書いて仁臓だ。…俺は、昔ある過ちを犯した。それについて話をしたい。」

仁臓M「俺には妻と息子がいた。とても愛していた。…しかし、妻は俺と息子をおいて、事故で死んだ。息子が5歳の頃だ。」

息子「パパ、ここでママ寝てるの?」

仁臓「…そうだよ」

息子「なんでママはおうちで寝ないの?」

仁臓「…」

息子「風邪引くよ?」

仁臓「目を閉じて手を合わせなさい。…ママはここが好きなんだよ。」

息子「ママって変わり者?」

仁臓「お口も閉じなさい」

仁臓M「この日は、妻の死んだ日からちょうど一年後だった。俺と息子はお墓参りに来ていた。とても雨の強い日だった。」

息子「パパ」

仁臓「ん?」

息子「…ママって僕のこと、好きだった?」

仁臓「大好きだったよ、本当に。」

息子「ママに会いたいな…」

仁臓「いつかまた、・・・一緒に暮らせるよ。」

息子「…」

仁臓「…あ、雨も強くなってきたし、帰るか。」

息子「…うん」

仁臓「そうだ、帰る前に店寄ってくか、お前、あの…ジュース好きだろ!」

息子「うん…」

仁臓「…ごめんな、ママみたいに優しく出来なくて…」

息子「パパ」

仁臓「…ん?」

息子「大好きだよ」

仁臓M「笑顔でそう言ってくれる息子に俺も笑顔で答えた。優しい息子が、大好きだった…。そして俺たちは家と逆方向にあるスーパーへ行こうとしていた。」

仁臓「この信号の向かいの大きなマンションな、お前が赤ちゃんのころパパとママと一緒に住んでたんだよ」

息子「そうなんだ〜」

仁臓「懐かしいな…。あ、信号変わった、ついておいで。」

仁臓M「この時だった。一瞬の出来事であまり覚えていなかったが、この後目が覚めたのは、病院だった。息子は…、どこにもいなかった…。」

仁臓M「信号無視のトラックに跳ねられた。トラック運転手はそのまま自首した。
俺には恨みも悲しみもなかった。ただ、寂しかった。」

仁臓M「退院後誰もいない家で呆然と座り込む。何時間かした頃、俺は突然立ち上がる。何も考えずただ走った。」

仁臓「ハァ…ハァ…。」

仁臓M「息を切らしてたどり着いたのは、俺と息子が跳ねられた場所、そこはもう元の道路に戻り…」

仁臓「…、ァぁ…、ぁ…ぁああああ!!」

仁臓M「全て無くしたことを知った。何もかも無くなった。泣き崩れ、ただ悔やんでいた。」

仁臓M「涙も枯れた頃、手にジュースを持っていた事に気付いた。息子の一番好きだったジュースだ。俺は、何も考えず、ジュースを道路にかけた。理由を考える前にただかけつづけた。そして、14年もの月日が経った。今でもずっとかけつづけている。息子の大好きだった、サイダーを…。」



サイドD



直樹「…そうだったんですか…。それでサイダーを…。」

オッサン「あぁ、…なんか悪いな、こんな湿っぽい話聞かせちまって。」

直樹「いや、いいんです。…あ、そうだ。息子さんにこれを。」

オッサン「…ん?傘?」

直樹「息子さん、雨に濡れてたら可哀想でしょ?」

オッサン「あぁ、ありがとうな…。…そうだ、よかったらあんた、名前教えてくれないか?」

直樹「俺は、…直樹っていいます」

オッサン「…偶然だな、俺の息子と同じ名前だよ」

直樹「ホント、偶然だ、おじさんも、俺の父さんと同じ名前だよ」

オッサン「…え?」

直樹「…さぁ、帰ろうかな。こうゆう場所、誰も来ないし。母さんも待ってるし」

オッサン「待ってくれ」

直樹「じゃあ…」

オッサン「待っ…」

直樹「お元気で…」

オッサン「待ってくれ!!」

直樹「…」

オッサン「直樹…なのか?…息子なのか!?」

直樹「…」

オッサン「…妻は、元気か?」

直樹「…」

オッサン「…元気なら伝えてくれ、”愛してる”って。」

直樹「…」

オッサン「…すまなかった…。俺がスーパーによるなんて言わなかったらこんなことには…!」

直樹「夢、叶えてくれたね」

オッサン「…え?」

直樹「ママに会いたいって夢。…伝えとくよ、さっきの。」

オッサン「やっぱり…そうなのか…!」

直樹「…」

オッサン「…こんな…、こんな…ダメなパパで、…ホントごめんな…」

直樹「…パパ」

オッサン「…」

直樹「大好きだよ」

オッサン「…!…パパも、大好きだよ…」


・・・


サイドend



高野「zzz(イビキ)」

石田「おぉーい!高野!高野仁臓!!!」(玄関を叩く)

高野「…ん?」

石田「玄関開けろ!」

ガチャ

高野「よぉ、石田宏樹」

石田「フルネームで呼ぶなって言うのを何十年言えば分かるんだ。」

高野「死ぬまで分からない、っていうか久しぶり」

石田「おぅ。どうだ最近は?」

高野「正夢…」

石田「まだ見てんのかよ!お前一回正夢のせいで捕まったろ」

高野「いい経験になったよ」

石田「凝りねぇ奴だな、正夢以外にはどうだ?人でなし!」

高野「それはやめろよ」

石田「俺の気持ちを知れぇ!!っと、さあ気も晴れたし、行くか。」

高野「毎年悪いな」

石田「いいって、親友の妻と息子の墓参りに車を出してやる男、映画みたいでカッコいいじゃん!」

高野「お前も変わったな」

石田「はは〜、まぁなんでもいいや、行こうぜ」

高野「うん…」

石田「どうした」

高野「あの夢、正夢っぽかったな…」

石田「本当凝りねぇ奴だな!ハハハハ…」


END


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