1、2、3。
「……よん、ごー、ろく、なな、はち、きゅう、じゅうー!」
「ちょっ…、早い!」
「何が?」
「数えるのが!ちゃんと10秒数えてよねー!」
「…ところで?お前は何をしてるのかな?」
「……。」
痛い。
視線が物凄く痛い。
「ミナ、俺が10秒ちゃんと数えてたら部屋から出てくつもりだったんだろ?」
うん。バレてるね確実に。あともう少しあれば、ドアに辿り着けたのに残念。
「甘いよ。」
言うが早いか、気が付けばアイツは…由樹は私の真後ろに。
「…逃がす訳、ねぇだろ?」
―ああ、今日も逃げられなかったか…。
きっと、ニヤリと意地悪気に笑っているであろう由樹に後ろからぎゅっ、と抱き締められてしまい仕方なく逃げることを諦めて、背中の温もりに身体を預けたのだった。
「つか、ミナからキスするって約束だろー。」
「それはそっちが勝手に言ってただけで、私はするなんて言ってないっ!」
「往生際が悪い。」
「ちょっ…由樹のアホー!!」
(どんまいっ!)
END.
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