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※作品一部より抜粋



「ツナ、お前まさか……!」
「……」
 一度ディーノの方へ振り返り、にこりと笑う綱吉を見て、さっきまで飄々としていたディーノの表情に焦りの色が滲む。
 綱吉は雲雀に血を捧げるつもりなのだ。
 跪いた雲雀の前に両膝をつき、彼との高さを合わせると体操服の襟元ぐいっと引っ張り、その縁を邪魔にならない様に左肩へと引っ掛けた。
 雲雀は眼前に晒された白く細い首に一瞬目を奪われるが、欲に飲まれまいと己の腕に爪を立て、その痛みでなんとか意識を逸らした。
「止めろ、ツナ!恭弥がお前の血を吸えば、掟を破ることになって俺が消さなきゃならねぇ。それに、お前が無事で済む保証なんて何処にもないんだぞ!」
 綱吉が本気で雲雀に吸血させる気だと知り、ディーノはなんとか食い止めようと声をあげた。
 しかし、綱吉は振り返ることなく華奢なその腕で、そっと雲雀の頭を抱いた。
「雲雀さんが俺の血を吸うんじゃなくて、俺が雲雀さんに血を吸わせるんです。それなら俺が雲雀さんに掟を破らせたことになりますよね?だったら、俺を殺せばいい。それに、雲雀さんが苦しんでいるのいつまでも見ていたくないんです…」
(俺は、この人が好きだから…)
 最後の言葉は決して口には出さず、抵抗する雲雀の口元に自分の首筋を寄せて、牙先が肌に触れたことを確認すると抱き抱えていた雲雀の頭をグッと引き寄せ、白い首に彼の白い牙を自ら突き立てた。




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