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♪ただ願う
(茂吉×空)



いつからだろう。


空があんなにも
狭く見えたのは。



見上げると

長い柱に繋がれた黒い線が

何本も伝って
空を塞ぐ。



最近はもう、
太い線まで当たり前になった。



塞ぐな 塞ぐなよ


気付いたら
どこへ行っても
黒い線は邪魔をしてくれる。


高いビルなんて
当たり前になってしまったのに

こんどは黒い線ですか。





電気を使えないのは
困る。

でも空が塞がれる不安だけは
もっと困る。




ただ青い広い空を
見上げていたいだけなのに。




『…モキチくん、どうしたの?』

天ばかり仰いでいたせいだ。
心配されてしまった。



『うん、ごめん。なんでもない』

『……嘘、嘘。』

『車谷くん? 』





泣いてる。





言われて気付いた
何故か冷たい雫は

ゆっくりと頬を伝っていって。



『モキチくん。モキチくん――』


小さい手が
温かかった。





君と同じ名を持つ
この青い青い世界が

どうかそのままでいて欲しいと。



空という、
あの届かぬ世界が

汚れなく続いて欲しいと
強く、ただ僕は願っていた。






えんど





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