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泣きたいのはこっちなのにそんな顔をされたらどうしていいかわからなくなる。妙な安堵と、少しの焦燥を覚えた。


「なんでテメーが泣きそうになってんだ」
「だっ、て、」


ひくりと白い喉が上下するのを見て無性に苛立つ。このまま一緒にいたら取り返しがつかないことをしてしまいそうで、怖い。無意識に瞳が鋭く変化した。追い払うような視線に、しかし黒い影は動かなくて驚く。


「オレ、は、元希さんになにができるんですか」


たどたどしく動く唇とは裏腹に瞳は強い力を持っていて、オレは一瞬戦慄する。


(なに、って、)


言葉を与えて情を分ければタカヤはそのまま受け取る。そうしてずっと隣にいるのだ。たとえ互いの思いが相違したものだとしても、優しい少年はオレの言葉に縛られる。
だけどそんな風にしてそばに置くことに、一体どんな意味があるというのだろう。


「…的は、黙って立ってろよ」
「な、んで、っ」


タカヤの瞳が失望に揺れた。可哀相なくらいに潤んだそれはひどくきれいで、おもわず、突き放して絶望に染めてやりたいと思う。
けれど本当は、この小さくて温かい身体をおもいきり抱きしめたかったのだ。


(…オレはこいつのこと、泣かせてばっかじゃねぇか)







水平線の果て
(触れ方なんてわからなかった)























あきゅろす。
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