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 誰にもバレなかったのは奇跡に近いんじゃないだろうか。たまに退屈になった元希さんがたかやたかや騒ぎ出してひやひやしたけれど、少しだけふたを開けた筆箱の中に入れたらおとなしくなった。

(…なにしてんだ…)

 もしかしてペンとペンの間で眠ってたりするんだろうか。微妙な期待をしながらそっと筆箱を覗くと果たして元希さんは寝息を立てていた、が、周囲にはちぎられて無残な姿になった消しゴムの欠片が散乱していた。ちくしょう小さくなってもやっぱり最低だなこのひと。







タカヤくんのこいびと







 昼休みは危険だ。何が起こるかわからないからさっさと避難場所を確保しなければ。オレは弁当箱を片手に席を立つ。あべーどしたのー?と後ろから怪訝そうな声が追いかけてきたけど聞こえないふり。頼むクソレフトほんと黙って。

「たかや腹へった」
「はいはい」

 静かな図書室に元希さんががしゃがしゃと弁当箱を叩く音が響く。ふたの上にご飯を盛ってあげるとおかずが足りないだのなんだの悪態をつかれた。

「…小さい…」

 正午の太陽は気持ちいい。窓際に座ったオレはぼんやりと小さくなった恋人を見つめた。それにしても服や生活用品はどうしたらいいんだろうか。一応部屋にあったハンカチを元希さんに巻きつけるみたいに着せてみたがさすがに寒いだろう。

「元希さん服どうします」
「かっこいいのがいい」
「ねぇよ」

 自分の身体を見てから言ってほしい。あああほら卵焼きぼろぼろにしてないで。卵まみれになった元希さんが口を開く。

「おもちゃ屋にあんだろ」
「いっ、やだ!明らかに店員に怪しい目で見られるだろ!」
「いいじゃん。オレはかくれてるから見られねぇもん」

 そうですねアンタはポケットにいればいいんですもんね。絶対いやです馬鹿野郎と告げた瞬間元希さんのか細い声。

「やば、左肩ひえてきた」
「…っ…!」

 そのままぶっ壊れちまえ!なんて口が裂けても言えなくて、結局オレはその日の帰りこれなんのプレイだよっていうくらい恥ずかしい思いをするしかなかった。










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まさかのつづき

















あきゅろす。
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