[携帯モード] [URL送信]
“おやすみ”そう伝えて電話を切ろうとした矢先、阿部が待って、と遮る。
もう少し…そう言う声に電話を切れなくなってしまった俺は携帯を耳に当てたまま全神経を耳元へ集中させた。
阿部の口元から吐き出される低い声、吐息ですら感じていたい、なんて俺はおかしいんだろうか。

「会いてぇよ」

なんて切なく甘える阿部は珍しくて何かあったのかと心配になる。

「欲求不満かも。栄口不足」

そんなの俺だって…と伝えれば阿部からとんでもない要求がきた。

「するか」
「……え?」
「電話で」
「電話で?」
「セックス」
「な、何考えてんだよっ!無理!」

真っ赤な顔して大声出してしまい思わず口元を押さえる。
だ、だって……それって自慰行為しろってことだろ?

「栄口」
「そんな声出したって無理だし」
「俺もするから。一緒なら恥ずかしくねぇだろ」
「そういう問題じゃ……」
「栄口。……フーッ」
「ひゃうっ!」

耳元で突然息を吐かれ、直接吹き掛けられたわけでもないのに素っ頓狂な声を上げてしまう。

「……感じた?」
「そんなわけ……」

ない。と言えない自分が少し情けない。正直、たったあれだけで興奮してしまった。体が火照ってきたのが分かる。

「栄口、好き」

阿部って卑怯だ。今、そんなこと言われたら……止まらなくなる、よ。
熱くなった中心部に手を添えハァ…と息を吐けば

「……栄口のここ、すげぇ。熱くて硬くてトロトロだ」

と阿部が言う。
傍にいるわけじゃないのに。
見られてるわけじゃないのに。
まるで阿部がそこにいて見てるみたいな錯覚。

「俺がいつもしてるみたいにしてみ?」

言われた通り、自分の手を動かしてみる。
阿部の声が訊こえるだけで自分の手が阿部の手に思えてきて阿部に触られているみたいな気分になる。

「んっ……ハァ……」

もう、何も考えられない。
受話器から生唾を飲み込む音がした。

(阿部も興奮してる?)

「あ、べっ……、ハッ……、阿部もっ」

一緒に……。

「ああ。……っ!俺も、してる……から」

電話の向こう側で阿部が俺の声を訊きながら……と思うとゾクゾクする。
阿部もこんな気持ちなんだろうか?
阿部が一人でヤってる姿を想像したら興奮しすぎて我慢できなくなってきた。

「阿部っ……も、限界っ!ああっ!」
「俺もっ……くっ」

その直後、ドロリとした熱を吐き出し手で受けとめた。



息が整う頃には冷静になりすぎて恥ずかしさだけが残る。

「阿部のばかっ!サイテー!」
「なんだよ、その言い草。俺だって同じことしたんだけど。でも、やっぱ直接触れてぇな。栄口に」

その台詞に思わず阿部を許しそうになった俺は余計なことを言ってしまう前におやすみっ!と電話を切った。
明日、俺は阿部の前で普通にしていられるだろうか?

END






「蒼い月〜Blue Moon」のユヅキ様から誕生日プレゼントに頂きました。
テレフォンセックスする阿栄です。私のとんでもない欲望覚えててくれてありがとうございましたあああ!しょうもない脳みそですみません。
お互い妄想するって、すごい燃えると思いませんか?
これ読んだ時に、私の脳みそが燃え尽きました。阿部の声は電話越しだとエロさ3割増に一票!

ユヅキさん、素晴らしいものありがとうございました!!



<back>


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[グループ][ナビ]
[HPリング]
[管理]

無料HPエムペ!