道,純
物語の結末を知っていたら。
そんな後悔なんて今はもう意味を成さない。
「…死なない、ん、ですか?」
「うひひ、ばれちゃいましたか」
いつもの、どこか人を揶喩したような軽薄な笑みを浮かべて何でもないことのようにあっさり認めた事実は、あまりに大きすぎる。
まさか、そんなことが本当に……。
駄目だ、完璧に僕の許容範囲を超えている。考えが追いつかない。
「でもちょっと外れっす」
死なないんじゃない、死ねないんすよ。
そう言って道明寺さんは僕の前から姿を消した。驚愕過ぎて微動だに出来なかった僕の横を通り過ぎて道明寺さんは消えてしまった。
そして二度と、会うことはなかった。
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