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※色々捏造だったりします
最後までヤってません






革靴がアスファルトの地面を緩慢と踏み込むたびに小さくこつ、こつと鳴る
だが、それは大勢の人の声や車の騒音で掻き消されてしまう
だが、漆黒の鮮やかな髪色を纏う一人の青年はそれをさも愉しげにケラケラと笑いながらまた一歩、一歩と足を踏み込ませていたのも束の間
何処からか聞こえた声に青年は待ってましたといわんばかりに口の端を三日月の様に緩く吊り上げ足を止めた

何処からか飛ばされてきた自動販売機が視界に入ると周りの一般市民は慌て逃げ惑うも青年は自動販売機を軽々と慣れた様子で避けた
少し薄汚れ、くの字に曲げられた白い棒の先端に付けられた標識が目に入った青年は歓喜の表情を一瞬浮かべるも直ぐに元の表情へと戻した
多少長く癖毛の金髪にバーテン服が様になっている彼は青年に向かって怒声を上げた

「――…いぃぃざぁあやぁぁああああ!」

彼は青年を臨也と呼んだ
青年、臨也は再び口の端を吊り上げこの危機的な状況を余裕とばかりに両手を紺色のジーンズのポケットへと突っ込んだ

「池袋に来るんじゃねえって、何回言ったらわかるんだよ」

「やだなァ、シズちゃん。まだ池袋に8歩…いや、6歩しか入ってないよ」

そうだ、臨也が先程愉しげに歩いていたのは彼、静雄が己が何歩池袋に足を踏み込ませたら飛んでくるのかと数えていたのであった
それを挑発的に伝える臨也に対し静雄は怒り爆発寸前どころではなく既に爆発していた
臨也は内心本当に鼻がよく利く犬だ、思っているかのように相手を見下す視線を送った
静雄は掛けていたサングラスを外し、ベストの胸元へ落ちぬように掛けた

「臭うんだよ、1歩でも手前が池袋に足を踏み込ませるだけで臭いやがる」

「え?何ソレ。犬は飼い主の匂いがわかります、的な?…全然面白くないよ」

臨也が冷たく言葉を放つと静雄は耐え切れず手にしていた標識を臨也に向けて投げるも当然の如くそれはかわされ壁にぶつかる
本当馬鹿だと侮辱するように小さく笑う臨也にギリッと静雄は歯を噛み締めた



この犬猿というべき仲が成立したのは2人が高校時代の時であった
静雄は規則正しく学生服を身に纏い、臨也は規則に反し短ランと赤シャツを纏っていた
2人が出会ったのは入学式早々、そして犬猿の仲になったのは大体2年の秋辺りである
誘いに掛けたのは臨也の方からだ

橙色の夕日が広々とした教室に射し込んでいる
そこには机に腰を下ろす臨也と先程まで追い駆けっこしていたのか息を荒げている静雄が居た
臨也は笑みを浮かべていたが直ぐにつまらないと言わんばかりの表情浮かばせ肩を竦めると同時に溜息を零した

「こんなつまらない鬼ごっこ、飽きちゃった」

「あ゙ぁ゙?」

緩慢とした口調で臨也の口から発せられた言葉に静雄はぴくりと眉根を動かし眉間に皺を寄せた
しかし一方の臨也は不意に右手で拳作り掌の上に乗せ、俯かせていた顔を静雄の方へと向け悪戯を思い付いた子供の様な笑みを浮かばせた

「これ名案」

そう一言発すると臨也は机から下り警戒する静雄へと歩み寄った
静雄は何が名案なのかわからず頭上にクエスチョンマークを浮かべていた刹那、臨也は静雄のワイシャツの襟を掴み身体を床へと己の体重を掛け倒した
静雄は何が起こったかわからぬ儘後頭部と背中を床に叩きつけられ痛みに顔を僅か歪ませるも、視界に入るは静雄の腹部へ跨った憎しき相手、臨也であった
あまりの驚きと以降の展開が読み取れず大きく双眸見開くと臨也は最高とばかりに堪えていた笑みを零した

「――…あははっ、ヤバイ、シズちゃん、その反応さいっこー…」

腹を抱えて笑う臨也の肩に静雄は手を伸ばし形勢逆転とばかりに床へ臨也の背中を押し付けた
静雄は床へ横になる臨也へ覆い被さる様に、臨也の逃げ道を封じた
だが臨也は計算通りと笑みを浮かばせ静雄の首へ両腕を回し頭を己の方へ引き寄せると静雄は不快だと言わんばかりに眉をぐっと寄せた
臨也はその表情に何を思う訳でもなく更に静雄を引き寄せ耳穴へと唇寄せれば熱の持った吐息を吐き出し口許に三日月を浮かばせた

「最高に嫌いな奴とセックス、って…出来ると思う?」

「――…ッ!な、に、言って…っ」

不愉快極まりない以前に静雄は唖然した
臨也の口にした言葉の意図を読み取ってしまったからだ
更に続け臨也は口を開き喋り出した

「…人間ってね、気持ち良いなら異性でも同性でも感じちゃうらしいよ?
勿論、大好きな相手なら尚更。嫌いな相手にだって感じちゃうんだってさ
知ってた?…嗚呼、ごめん。シズちゃんって童貞だからわからないか」

淡々と喋る臨也に比べ引き攣った表情を浮かべる静雄は怒りと戸惑いと驚きが入り交じり頭が混乱し始めるも不意に唾液の絡んだ舌が静雄の耳朶を這うと全身に鳥肌が立つのを感じた
性急に事を進め出す臨也の顔には笑みが浮かべられていたが、静雄はそれを見ていて不愉快極りないという表情を見せる
が、その束の間、臨也の手が静雄の肩に添えられ尻が床に付いた儘背が壁へと押し付けられた形で臨也は静雄の足に跨った
臨也の片手は静雄の肩に置かれるとその行動を静雄は不傾げに思い臨也を睨み付けた
性行為に興味が無い訳ではないのだが大嫌いな同性とするのは不愉快だと思うも相手を窺うように抵抗はしないでいた
何かあれば直ぐに殴る事が可能であったからだ
静雄の視線に気付いた臨也は静雄に笑い掛けた

「あっれー?抵抗しないんだ」

「うるせえ」

「あ、図星?」

抵抗示さぬ静雄を不思議そうに臨也は見つめるも、抵抗されぬ今のうち事を進めるべく臨也はおもむろに空いた片手でベルトを外しジッパーを引き下ろした
次いでズボンと下着に手を掛けると静雄の喉がこくりと鳴るのが聞こえた

「安心して、シズちゃん
俺は大嫌いで汚いシズちゃんの中になんか突っ込まないからさ
突っ込むくらいなら突っ込まれた方がマシだし
シズちゃんが俺ん中で、屈辱的にイくの、見ててあげるよ」

告げられた言葉に次ぎ臨也は指を引っ掛けていたズボンと下着を膝まで下ろし触れた事のない自らの後孔へゆっくり中指を這わせた
僅か静雄の肩に置かれた手が震え力が籠もるのを静雄は感じたが何も言葉にせず臨也を見つめた
臨也は後孔へ中指の先端を無理矢理押し込むように進めるも皮膚へ爪先の僅かな食い込み痛みを感じるも静雄に経験が無いと思わせぬ様に指をぐいぐいと無理矢理押し込んでいくものの皮膚の引き攣る感覚に眉が自然と寄り肩に置いた手に力が込められる
内壁のぬるりとした感覚に指の地肌が触れると初めてである気持ちの悪さに表情見せぬように顔を俯かせ唇を噛み締めた
何分経っただろうか、漸く臨也の胎内へ中指が第一関節までが埋まると無理矢理指を折り曲げ軽く抜き差しをしていくうちに軽く快楽が込み上げるのを感じた
慣れてきた所で人差し指を差し込み頃には既に静雄は臨也の痴態を眺め自身は膨張してしまっていた
中々慣らす行為が終わらぬ事に静雄は耐え切れず何時の間にか殺してしまいたい程大嫌いな臨也を押し倒していた

「シ、シズちゃんったら、せっかちだなァ…まだ慣らし終わってないんだけどー…」

「もうかなり経ってんだろうが
それに、誘ってきたのは手前だ」

有無言わせぬ静雄は自らのベルトに手を掛けジッパーを下ろすと既に勃起した自身を取り出した
臨也の両足を肩に担ぐとひくつく後孔がよく見えた
羞恥で僅か目元を赤く染める臨也は息を呑んだ
間髪入れられぬ間に静雄の自身の先端がぐっと臨也の後孔へ押し込まれた

「―――…ッ…!」

「手前…ッ、力、抜きやがれ…!」

無理矢理先端を押し込んだが良いがきゅっと後孔が閉じ、熱い吐息を静雄は吐き眉を寄せるも無理矢理ぐっと胎内へと押し込んでいった
無理矢理押し込まれる事により血が滲むのもお構い無しに自分の性欲に従順な静雄を睨み付けるも、胎内の異物感が気持ち悪い上に苦しく何度も荒い呼吸を繰り返す臨也は必死に力を緩めようとするも痛みに耐える為力を込める事しか出来ず眉を八の字に下げ
それでも全て埋め込もうと無理矢理押し込む静雄は正に正真正銘の童貞の行動と見受けられる
臨也は痛みに耐え切れず僅か涙腺が緩むのを感じればじわりじわりと涙が込み上げ始め
臨也の瞳が潤んでいるのに気付いた静雄は腰を進める動きをぴたりと止めた
まるで殺してしまいたい程に大嫌い臨也に気を遣うように
ふと動きが止まった事に臨也が気付くと眉を寄せ罰の悪そうな表情を浮かべる静雄が視界に入る

「シ、ズ…ちゃん…もし、かして」

「は?いやいやいや、ありえねえから
手前に気ィ遣ったとかそんなんじゃねえから
手前の泣きそうな顔を堪能してやろうと思ったんだよ
…な、何だよ。アレか?酷くされてえのか?」

ぴくっと肩を跳ねさせ誤魔化すように強がった言葉を発する静雄の本音はあの臨也が泣いていたからかなり痛いのだろうと思い気を遣っていたと言う理由であった
それを隠す静雄だったが臨也はあっさりと見破り笑いが込み上げるような感覚に見回れ思わず思っていた事が口に出てしまい

「……シズ、ちゃん、って
何か、可愛いね」

それを告げられた静雄は双眸大きく見開くもそれ以上にぽろりと口から出てしまった言葉に吃驚する臨也が居た
更に続く言葉が見付からず暫く沈黙しているとやはり増すのは気まずさばかりな上に次第と気分は萎え始める
不意に中途半端に押し込んだ自身を静雄は抜き立ち上がれば、萎えたそれを下着の中へしまい込みジッパーを引き上げる静雄に臨也は瞳を丸くした

「萎えた、っつーか大体男とヤるっつーのがありえねえんだよ
手前もさっさとその粗品な物しまいやがれ」

その一言に臨也も気分まで萎えきってしまった
臨也は深い溜息を零すと共に上体起こし下着とズボンを上げジッパーを引き上げると緩慢と立ち上がった
何を言う訳でも無く臨也は立ち上がればそそくさと廊下へ足を進めるも、教室の扉へ足を踏み込んでは顔のみを後ろへと向けた

「バッカじゃないの
シズちゃん何か、死んじゃえ」

そう一言吐き捨てるように告げ何処かへ消えた臨也に静雄は呆然とした
何が馬鹿でどうして今の状況でそれを言ったのかと疑問が湧いたがそれ以上、何でアイツの事を考えなくてはいけないと溜息吐き出し静雄は自らの金髪を掻き乱した


だが、後日 臨也は普段通り静雄をからかい、静雄を殺そうした
あれ以来、静雄は臨也に性行為に迫られる事は無かった
なのに、何故だかあの一時が頭から離れず、以前よりもずっと、それ以上に静雄は臨也を嫌った
逆らえぬ怒りが悶々と込み上げ、その原因はただ一つと確信がついていたから尚更であった

とある日、晴天と言える夏空の下、静雄は涼しい風が流れる木の影に座っていた
まだ悩みは続いていた
それ以前に臨也が自分で慣らしていた時の様子、涙の滲んだ双眸、そして――
不意に静雄の前に大きな影が出来る

「シーズちゃん」

嗚呼、そうだ

「授業サボってこんな所で何してんの?」

わかった
全部理解した

「あれ?今日は殴り掛かってこないんだ」

俺はこいつが大嫌い(好きなのかもしれないん)だ





静雄には地雷がある
それを臨也は知っていた

あの日誘ったのも計算
最後の言葉も殺そうとしてたのもからかってたのも嫌い、大嫌いって言ったのもあれ以来誘わなかったのも処女ぶってたのも痛いって涙浮かばせたのも可愛いって言って自分で驚いたのも最後までやらなかったのも俺が池袋に来たのも、いや寧ろ俺が来神に入学したのもシズちゃんに目を付けたのもシズちゃんを手懐けられなかったのもシズちゃんが俺を嫌いなのもシズちゃんが無自覚で俺に片思いしてるのもダーラズとか黄金賊も罪歌も甘楽も平和島静雄に出会ったのも俺が静雄をシズちゃんって呼ぶのもシズちゃんが俺を殺したくて堪らないのも全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部――…
計算、だったら良いのに

「大好きだよ」

「は?」

「嘘、エイプリルフール
じゃないけど、俺は何時だって嘘ついて良いんだ」

静雄は怒声を上げた
それを臨也は愉しげに笑ったり避
けたり逃げたり殺そうとしたり
だが臨也の表情には小さな切なさが滲んだ


本当に大嫌い、
(の反対の反対の反対の反対、)
(の反対の反対の…反対)
(だけど大嫌い)

(嘘、エイプリルフール)




2010.04.28




あきゅろす。
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