お留守番
「あーあ、ヒマだな…」
アレクが交易をする為に城を出てから30日が経った
俺も連れて行ってくれと言ったら、今回は普段余り先頭に参加していない奴等を鍛える為でもあるからダメだって言われた
ねーちゃんはアレクに連れて行かれたイクスを勝手に追って出て行ってしまったし…
一人の屋上は少し寂しい物がある
「…アレク不足だ」
ボソッと呟いたと同時に、顔と仮面との薄い隙間に何か温かい物がズボッ!と突っ込まれた
「おわあぁっ!?」
「よっ!ただいまー、何不足だって?」
「あ…あ…っアレクーーー!!」
バッ!と仮面を上げながら振り向くと、そこに居たのは帰りを待ち焦がれたその人
アレクが居た
俺は思わず勢い任せに抱き付いて頬擦りをしていると、子供にするみたいに『よしよし』と頭を撫でられた
「ねーちゃんが居なくてそんなに寂しかったのか?」
「……違う」
ねーちゃんが居なくて寂しかったらねーちゃんに抱き付いてるって!…いや、抱き付かねーけど
「アレクが居なくて寂しかったんだよ…」
額、頬、鼻先と、軽いキスを降らせ…それから、唇が付くか付かない位の微妙な距離で見つめる…
「……ばかじゃねーの?」
赤い顔のアレクが、そう言いながら目を閉じたから、そのまま唇を重ねた
後からイクスに聞いた話
「旅の間、アレク君の口癖が『ヨベル今頃なにしてんのかな?』ばっかりだったよ」
今ならニムニと友達になれそうな気がする
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