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「はぁ……」

今度は屋上にやってきた。
日も落ちてきたし、涼しいだろうと思ったからだ。
何でってそりゃ……以下略だ!

「あ、そうだ…今あそこに行けばイイ景色が……あ」

いい事思い付いたと思って木の上に登ったら、いつもの定位置にアイツが居た。

「やぁ、アレク君」
「ツァウベルン…」
「私に何か用かな?」
「なぁ、ちょっとそこどいてくれよ」
「…それは出来ないな、ここは私の特等席だからね」
「なんだよ!ケチだなー…」
「待ちたまえ」
「ん?」

仕方ないから帰ろうと背中を向けたら呼び止められて手招きをされたから近寄ってみたら…

「おわっ!?」
「ここは私の特等席だから譲れないが、その代わり君の特等席はここだ」

いきなり抱き上げられて、座ったツァウベルンの膝の上に座らされた。

「この景色が私からのプレゼントだよ」
「へ?」
「誕生日なのだろう?」
「何で知って…」
「……おめでとう」

後ろから抱き締められながら、唇が耳に触れる程の距離で囁かれた。

「……っ!!」

折角ひんやりした風に落ち着いていた頬がまた熱を取り戻してしまう。

今日は何回これを繰り返しゃいいんだ!

「アレク君…」
「へ……うっわわっ!」
「ぶっ」

そのまま手で顔をツァウベルンの方に向かされて、唇が近付いて来たもんだから、片手の手の平でツァウベルンの顔を思い切り押してしまった。

「お、俺!用事があったんだった!!」
「あ…」
「じゃあな!」
「……やれやれ、逃げられたか…」


ツァウベルンの腕からすり抜けるように逃げて、木から降りてた。


……景色なんて見てる余裕も無かった



覚えているのは、間近にあった相手の整った顔だけ……



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6.とっておきの景色







あきゅろす。
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