夜を憂う
深い闇を未だ紅く照らす残り火に促されるように、ルークは浅い眠りから目覚めた。
ゆっくり瞼を上げるとそこには淑やかな寝息を立てる自分と同じ顔。薄く開いた唇に指先をそっと添えると、躯の芯が情けなく震える。
「アッシュ、お前と…(ずっと一緒に居られたら──なんて)…ほんと馬鹿だよな、俺」
心の呟きは時折り声音となって、静まり返った辺りに虚しく響く。
叶う筈もない願い──夜の憂いはいつまでも燻る焔のように熱く胸を焼く。
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