だからどうしようもなく欲しくてさ。
こうやって求めることすらも許されないことではないでしょう?
だから俺は秘めたまま、心にしまったまま、それで表面だけ繕っていようと思ったんだねきっと。
なのにどうやら告白してもいないのに振られてしまったようだ。
「今はさ…なんか、恋愛してる余裕ないって言うか…。勉強も部活もあってしかもバイトもあってさ、それで…」
いやだ聞きたくない。
お前に何がわかるって言うんだ。
わかったかのようにその人のことを語らないで。
そうして深夜、一人家を飛び出して。って言っても一人暮らしだし、家で俺の帰りを待って心配する人もいないし。
途中でコンビニで買った缶チューハイを飲みながら、ふらふらと公園のベンチに座り込んだ。
「あっれ〜?栄口ジャン」
なんかさ、お前はこう、いつもいつもよくわからない、否ぜんぶ実はわかってんじゃないかっていうタイミングで現れるよね。
「え、なに、え?え?なんで泣いてんの?」
最初は少しテンパっておとおとしてたものの、水谷はずっとそばにいて、俺の話を聞いてくれた。
「あーそっか…うんショックだよねぇ〜その気ないって、本人以外から聞いちゃうの」
お前になにがわかるかぁ!って言いたくなるよね!
ムキーッってなんか漫画に出てくるみたいな顔をして水谷が言ってくれて。
なんか。
「あっはははは!」
「えっ!?なに!?俺笑われるようなこと言った!?」
って、それはそれはもう可笑しい。
「…お前、泣いてたじゃん、今」
「あはっあはは、だってさ…」
「笑うな」
「あはは、あは…」
おれみずたにがすきだ。
なんで、今ここでその言葉を言いたくなったのかな。
わかんない。頬を打つ寒さのせい。夜空に瞬く星があまりに綺麗なせい。
心が、
「てかアナタ今日失恋したばっかでしょうが」
「うん。そうだね」
「はい文貴思いますそれフキンシンです」
「そうかな」
いいじゃん。いま、俺は、水谷が好きなんだから。
むちゅ、と音を立てて水谷が俺にキスをした。
俺はそのまま目を閉じて、水谷に応じる。
「…しちゃった」
「…うん」
「…だめじゃんね」
「なにが駄目なの?」
「…だからさ」
水谷はぽりぽりと頭を掻く。
「もう過去のことだって」
「切り替え早!そうやって俺のことだってさ…」
「黙ってよ」
俺たちのこと見てるのは、あの星と、月と。
二回目のキスは、
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