[携帯モード] [URL送信]
あぁ、血があたたかい

腕から流れる血を、うっとりと見つめる。
綺麗だ、あたたかい、赤い、なんか、気持ちいい。
血が、白い枕の上に垂れて染み込んでいく。
白い枕が赤に広がっていく。
涙は零れない、後悔などない、この白い肌に傷をつけたことは名誉でもないし悪いことでもないし、ただただ普通のことで、私にとってなんでもない。ただただ傷をつけたくて、そこにどんな気持ちもなくて、ただただそれが普通で。

これを見た人たちは、だいたい口を揃えて「気にしないよ」と言う。
それが君の痛みだ、生きたい気持ちの現れだ、それも含めて全部君だ、
でも私には、君が傷をつけることはどうでもいい。にしか聞こえないんだよ。
だから次に切ったときは怒りもせず、何もせず、ただ見てみぬふり、気づかないふり。
うん、それでいいのだけど。

だから私はこれを隠す。
誰にも気づかれないように隠す。
何もなかったことにするのが一番。
どうせ、私の傷なんて浅いしひどくないし、すぐに治るし。


血が出なくなって、腕の血が乾いてかさかさになると、私はティッシュを濡らして腕についた血を丁寧に拭き取っていく。
丁寧に丁寧に丁寧に丁寧に。
次に枕を洗濯機に入れてスタートボタンを押して綺麗にする。
夜中の二時。周りの迷惑など気にしない。
……………なんか情けない。
私はただの自意識過剰の自分大好き人間。
がこがこと大きな音をたてて動く洗濯機を見つめて想う。
次はもっと深く、かな。
そうやって空想に浸ることで満足するのが私、自分大好き人間だ。


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[グループ][ナビ]
[HPリング]
[管理]

無料HPエムペ!