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    ―口実のもと―





「ちょっとここ、かなり汚れてますよ」


「煩いねぇ、少し黙ってくれないかい?」



少しだけ、カチンときました。だってここは貴方の家なのに。




「こんなところにいたら体に毒です!」




三十分ほど前から彼の家の掃除をしている私は、その汚さに心底呆れ返っている。

本当に信じられない。さっきなんてベッドの下から10cmはあろうかという大きな埃の塊が出てきたんですよ!?!
虫が一匹もいないのが不思議なくらい。





「そんな見えないとこなんてしなくていいのに」

「私は貴方と違ってキレイ好きなんです。それなのに貴方ときたら…」


「仕方ないだろう、そんな大掃除なんてする時間がないんだ俺には」

そう言いながらも梵天はソファに座って寛いでいる。



「なら今二人ですればあっと言う間にキレイになると思うんですが」


「生憎今は手が離せないんだよ」

「どこがですか!」




掃除も一人でできないのにこんな大きな家を買って…。

彼は私なんかの普通の人間なんかとは違って、大手企業の偉い人。そんなに若くでどうしてそんな良い職につけるんですかね。




「どうせお金は有り余っているんでしょうから、家政婦の方でも雇えばいいのに、どうしてそうしないんです?」


こんな埃っぽい家に毎日いるなんて気が狂いそうです。
だから私が来るたびこうやって掃除してあげているのに、すぐに汚すんですから…貴方。






「そんなものをやとってしまったら、この家で君と二人きりになる機会が減ってしまうだろう?」
俺はそんなのはごめんだね、と言う彼に、少し嬉しくなった。



「ふふ、そうかもしれませんね。でもそれとこれとは別なので、掃除くらいは自分で出来るようになってください」


「いいじゃないか、別に。君的にも『掃除』という口実で俺の家に来ることができるんだし」



「なっ…!そんなことありません貴方がきてほしいって言うから、来てあげてるんです!!」



「素直じゃないね、銀朱」


そう言われて、そんなこと言われなくても分かってますと言いそうになる。


確かに素直じゃないけれど、掃除を口実にして貴方に会いに来ているつもりはさらさらないんです。




「…口実なんてなくても、私は会いたい時に会いにきますから」




一瞬梵天の顔が驚いていた様に見えた。






「……それなら毎日でも来たら良いよ、銀朱」













(じゃあ私、ここから会社に通おうかな、なんて思ってしまいました)






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打つの疲れた(^^


あきゅろす。
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