―崩壊の予感―
「……ん」
朝に弱い私が目覚ましもなして起きることができたのは初めてだった。
昨日はいろいろ考えて眠るのがおそくなってしまったはずなのに、部屋の時計の針は5時すぎをさしていて。
あら、三時間しかねていない…隈はできてないですかね。
梵天は普段は私より起きるのが早いのだけれど、今日はまだ目覚めていない。彼の目覚めは大体5時半から6時。何故そんなに早いかって、彼は朝シャワーを浴びますから。
私は、いつも目覚ましは6時にセットしてあるんですけど、寝起きが悪いので必然的に6時半はこえてしまう。
それからいっしょに朝食を摂って、身仕度をしてでかける。
いつもでも案外時間は穏やかに流れるのに、私にとってこの時間はただただ暇なものにすぎない。今日の朝食になにかこった物を作ろうか、それとも久しぶりにお弁当でもしてみようかと考えていた時、私の視界にあるものがとまる。
それは梵天の握り締めている携帯電話。
彼は、ケータイだけは何故か中毒のように離しはしない。
出かける時に持つのは普通だが、彼は例え食事の時も寝る時も、ましてはお風呂の時もどこかにおいたりしないのだ。いくらなんでも風呂の中に持ち込むのは以上だと思う。彼のそれは防水だから、とかいう話でもおさまらないだろう。
つまりなにを言いたいのかというと、私か彼のケータイの待受がなんなのか知らない、ましてはそれに触ったことすらないのだ。別に見たい訳じゃない。けれど、そこまで直隠しにされたら流石に気になる。
分かってはいるのだ。
彼がそこまで私に見せたくないのは、その中身がきっと私にとって良くないものだということ。
彼の手からそっとそれを抜き取ると、彼は軽くうなり寝返りを打った。
「………ん……」
「ごめんなさい、梵天。でも、」
でも気になるんです。
ゆっくり折畳みのそれを開けると、
「―――…これは…」
その瞬間。
ピリリリリリリ…
「っあ、ケータイ……」
「…うーん……ぅ…」
運悪く私のケータイのメール受信音が鳴った。
「誰ですかこんな時間にッ……」
時計を見るともう5時40分。
「………ぁ…煩いね朝早くから…」
その声にびっくりする。
隣を見ると、まだ眠そうに目を擦りながら眉を寄せる梵天。
私は彼のケータイを後ろ手で閉め、気付かれないように布団の中から彼の近くに押し込んだ。
「お、おはようございます…」
「おは、よう……今日は珍しく早いね?」
良かった、彼の様子では気付いていなかったらしい。
私は、それを見なかったことにしようと思った。
「たまたま目が覚めたんです。朝ご飯用意しますんで先にシャワー浴びてきたらどうですか?」
そういって私はベッドを降り、いつもどおりの笑顔で彼に問い掛けた。
(やっぱり見なければよかった、なんて今更ですけど)
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終り方が微妙です。
酷い片隅を書いてから、勃発的にかいたもの。ストーリー性が近いです(^^
シリーズにしようかな〜
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