「あーあ……」 暗い帰り道だった。 今更夜道が怖いなんて言わないけど、やっぱり一人は淋しい、と思う 「はー」 さっきから口をついて出るのはため息ばかりで もうすぐ籍を入れるのになんて様。 「あーあ……言っちまった」 本当は迷っていた。 シカマルに話すか否か。 正直オレ自身もまだ驚いている。 さっきシカマルに聞かれた時は、嘘をついた。 本当は会社の後輩ではない。 会社の取引先のお嬢様だ。つまり、政略結婚のようなもの。 そりゃあ、顔だちは調っていてとても可愛い人だったけど、オレからすればそこに恋愛感情はない。 だからといって、一度頷いてしまったのだから後には引けないのだ。 「…シカマルぅ……」 もっとなにか言ってくれるもんだと思っていた。 あんなあっさりした返事じゃなく、せめて 「はぁ……」 本日何度目か分からないため息をついた。 きっと今のオレは幸せを全部逃がしてしまっただろう。 心なしか体も怠いし、「ため息をつくと幸せが逃げていく」というのはあながち迷信ではないようだ。 夜風が気持ち悪い、急げば10分で着くし早く帰ろう。 そう思っても、足が重くなかなか前に進まない。 結局家についたのはシカマルと別れて1時間後だった。 [グループ][ナビ] [HPリング] [管理] |