「あ、あの……」 「もういい」 「…え?」 「帰る」 待って、と言おうとして止めた。 引き止めたって 「そ、ですか……」 「じゃあね」 彼によって乱暴に閉められた戸が、反動でまた開いた。 やっぱり、ちゃんと言えば良かったのだろうか。 もうすぐ死にます、って? 言える訳ないじゃないですか。 いつも強気な貴方が私の為に泣くなんて、いけないことなんです。 私だって、貴方の側にいて一緒に外に出てデートとか、昔みたいに 「…ごめんなさい」 早く治したい。 そう焦れば焦るほど息はし辛くなって、動悸は激しくなる。 どうして私が、なんて此所に来てから何度考えたことか。 でも考えても考えても答えなんてない。 寝ようかな、寝よう。 寝れば全て忘れられるから。 [グループ][ナビ] [HPリング] [管理] |