オレとキバが付き合っていたのは今から三年以上前のことで、オレが告白してオレがフった。 当時はその行為が自己中心的なものだと思ったことはなくて、ただ無心にキバのことだけを思ってやったことだった。 「シッカちゃーん」 「ん」 「へへー」 「なんだよ」 「呼んだだけっ」 「……お前なぁ…」 そんな毎日だったが、楽しくなかった訳がなかった。 オレには、キバだけだった。 「…シカマル?」 「……あ、ワリ…ぼーっとしてたぜ」 「悩みとかなら聞くけど?」 「や…なんでもない、から」 そうだった。 今ここには本物のキバがいて、 何で今更学生時代なんか 「…そっ、か、じゃあオレ明日早ぇし家戻るわ。今日はオレが誘ったのにごめんな」 「あぁ、オレも出るから…」 精算は、キバがしてくれた。 ワリカンにしようと言ったら、いいんだよと言って笑った。 不覚にも、ドキッとした。 居酒屋から出た俺たちは、すぐ次の曲がり角で別れた。 本当はもう一本先で曲がらなくちゃいけないのに、これ以上キバと顔を合わせて居られなかったから。 [グループ][ナビ] [HPリング] [管理] |