―飛び交うアレは君の天敵―
「…はっ、はくちっ……!」
「どうしたの、風邪?」
多分銀朱は俺が彼の家にきてから、かれこれ10回ほど、くしゃみをしている。
「風邪じゃありません……花粉症です!」
こっちを恨めしそうに見てくる銀朱は目の周りが真っ赤だった。
「その目…なにしたんだい」
「だから、花粉症ですってば!っくし…ッ…!!」
どうやら目が赤いのもソレのせいらしい。
その上彼は鼻づまりも酷いらしく、声も少しおかしかった。
「ふーん…大変だねぇこの時期は」
「また人事みたいに…私は本当に辛いんですからっ」
「そんなの見てたら分かるよ」
けど、なっているのといないのとでは全然違うんだろうとは思う。
銀朱はさっきから頻繁に鼻をかんでいるから、鼻の下が赤くなってきていて。
俺は花粉症なんてものにはなっていないけど。
「君の苦しみが分かってやれなくて残念だよ」
少し皮肉を言ってやると彼は
「本当ですね!移るなら移してやりたいくらいですよっ…」
…だって。
またまたくしゅんっ、…とくしゃみをした銀朱は見てるだけでも辛そう。いくら草花が好きな彼でも杉や檜の木は全て燃やしてしまえばいいだなんて考えてそうだ。
そんなことを考えてる間に銀朱から八つ当たり。
「だいたい、貴方が私の家に花粉をいっぱい持ち込んできたんですよっ!」
ずびずびと詰まっている鼻を押さえながら、彼が俺にいった。
「はぁ?何で俺のせいなのさ?」
「この部屋には空気清浄機が三台もあるんですっ、だから貴方が来るまでは花粉なんて無かったのに…!」
知ってます?花粉は髪の毛にいっぱいつくんですよ、貴方私の家に入る前に花粉払い落としました!? ……だって。
「俺がそんなことするとでも思ってるの?」
「思ってませんけどっ…」
もし本当に俺がこの部屋に花粉をお土産にもってきていたのなら確かに俺にも非はあるけど、言われっぱなしは性に合わない。
「早く直せばいいだろう、花粉症なんて」
「そう簡単には治らないんです」
「じゃあ移せばいい、俺に」
「だから花粉症はうつらな……っ!」
銀朱の声が消える。
俺がちゅっ、と啄むようなキスをしてやったから。
「……っ、それだけでは移りませんよ?」
「…おや珍しいね、君から誘ってくるなんて」
「少しでも気を紛らわせたいだけですっ」
なら、花粉よりなにより愛を振り撒いて。
(君には辛い思いなんて合ってないから)
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花粉症です(^^
私がそうなのです。
本当につらい。
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