―矛盾のかけら― 「何引きこもってるの」 「もう会えないんです」 「…は?」 「帰って、下さい」 曇った夜だった。私は障子の向こうに身を潜める。 本当は、大分前から次の曇りの日に最後のお別れを…って決めていたんです。それなのに最近はずっと晴れだったから、月も星もキレイだったから。 「それ、何の冗談?」 「別に冗談じゃありませんよ」 「…………」 障子の隙間から彼の表情を伺おうとしたけれど、暗くて見えなかった。 体が身震いを始める。ここのところ頻繁におきる、この震え。原因は分かっているんです。 「本気な訳?」 「ええ」 嗚呼、私だって言いたくないですこんなこと。貴方から離れたくないんです。 貴方のこと好きだった、んですから。 頭がクラクラしてくる。あぁ、もう湧き上がってきた。 これはきっと、 殺戮衝動。 「梵天、終わりにしましょう」 私のその言葉が合図だったかの様に、スッと彼が立ち上がるのが見えた。 「…分かった、もうこないよ」 その言葉を聞いた私の心情は三手に分かれる。 ああ良かった、貴方が逃げてくれて。 あら残念、機会を逃してしまいました。 本当は泣きたいんですよ、私。 「最後ぐらい顔を見せて笑って分かれようとか思わなかったのかい…銀朱」 じゃあね、と彼の声。それは、やまびこの様に私の頭に響き渡って。 「笑ってさようなら、なんて出来る訳…ないじゃないですか……っ」 畳をドン、ドンと叩く。 私の中に残ったのは、沢山の彼の言葉と、心を埋めつくしてゆく黒い色だけ。 (貴方への愛は、いつから憎悪に変わってしまったんでしょうか) ■□■□■□■□■□■□■ またもや思い付き文です。 書き置きしてるのをあぷするのがめんどくさいのです……orz‖ [グループ][ナビ] [HPリング] [管理] |