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人の体温は嫌いである。
触れる傍からなにやら気持ち悪くなって、離れる。
この場合もそうなるはずなのだが、きっともう他人だと意識が認識していないのだろう。
それくらいなじんでしまえば問題ない。
それにあの男の体温は少し低くて、心地よかった。



「まだ起きていたのか」



特に感情を乗せずに言い放った言葉もなんだかおかしくて、アキラは微かに笑った。
手を伸ばすと、服に触れる。
もう着てしまったらしい。
それが少し残念だった。



「来いよ」
「上を着ろ。冷えるぞ」
「いいから」



シキは呆れたように息をついて、言われるがまま横になった。
素直なシキというのも新しい。
長い指先で前髪を撫でられ、アキラはまた笑った。
もとから口数の少ない彼は、こういう時輪をかけて喋らなくなる。
そして最初の強引さが嘘のように、きまぐれに優しくする。
日によっては喋らないで労わるように髪を撫でてくるから、こそばゆくて仕方ない。



「アンタ変だな」
「人のことを言えた口か」



アキラは笑いながら、髪を梳く指先を捕えた。
そのまま手の甲に口づける。
臆面もなくこういう真似ができるのも、こういう時しかない。
きっと明日、起きたころには忘れてしまうのだ。



「咥えんのか?」



言葉に促されるまま指先を少し口に含む。
少しだけ舌先を動かし、甘噛みした。
彼の笑い声がしたかと思うと、それきり口から指が抜けて行った。
このまま抱かれるわけではない。
そういう妙な安心感からか、追いかけるように舌を絡めた。



「寝ろ」



シキはそうささやいた。
そう告げられたら、戯れは、もう終わりなのだ。
アキラは同意も何もせず、言われるまま反対側を向いてしまったシキの背中に額を押し付けた。
向かい合って寝ることはまずない。
これくらいの距離感が、お互い心地よいのだ。



「おやすみ」



先程までとは違って、聞こえるものはシキの呼吸だけだ。
鼓動は遠い。
けれども、温かさがそこにある。
それはきっと、離れることはもうない。
この生活の中では得難いものだ。
アキラは深く呼吸をして、声も無く笑った。
幸せかどうか判断することは、いつのまにかやめてしまった。
最近はただこれでよかったのだと、思うようになった。






後悔など知らぬ



――――――――――
19万打記念、とらあなEDでえろいアキラの話でした。エロくなりませんでしたがピロートーク時のアキラって脱力してるし目はうるんでいるしでエロいと思うんです。決していいわけではありません。
部分的アルビノ様、まずエロくならなくてすいませんでした。代わりと言ってはなんですが甘くはしたつもりですので、なにとぞよろしくお願いします。



リクエストありがとうございました!









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