「ロックオン!ロックオン!」
「…………」
無視を決め込むロックオン。こうなったらもう誰にも対処出来ない。でも、ハロは知っていた。今上の空のロックオンをどうすれば気を引けるのか。
「イエス ウドゥ トゥー ゴッド …」
「おい、何でそれ知ってんだ」
どうしてこの歌を知っているのか。ハロの発音は別にして、これはアイルランド民謡だ。ロックオンが暗譜している数少ない歌の一つをどうして…
「ロックオンウタッテルウタッテル」
「俺がか、そんなの歌ってたか?」
「ウタッテルイツモウタッテル!」
無意識に口ずさんでいたのだろう。この、愛を悲しむ歌を。
「……なぁ相棒。俺、今恋してる」
「シッテル」
「おいおい、俺そんなこともお前さんに言ってたのかよ」
「チガウ、シッテル、ワカル」
「……それって、見てればわかるってことか」
「ワカル、ミレバワカル」
そんなに俺は末期なのか。
ハロだけが知っているのか、もしかしたら周りの奴ももう知っているのかもしれない。そんなオーラを出していたのだったら、いい大人が情けない。
そんなに恋い焦がれているなんて。
「愛が、欲しい」
女に困ったことは正直あまりない。向こうからいつも愛なんて、求めていなくても与えられてきたから。きっと優越感に浸っているのを、神様とやらが痺れを切らして俺を罰したんだ。
初めて知った。向こうから愛を与えてもらえないことがこんなに寂しいなんて。
「今度は俺が与える番なんだよな」
「………」
目をチカチカと点滅させて、ああ、ハロには分からないか。
もし、俺が与えてあいつが何も感じなかったら、なんて哀しいのだろう。そうか、あの女達は、こんな思いをしていたのか。俺は、どうしようもない馬鹿だ。
「俺からは、無償の愛をーー。」
「Yes, would to God I were among the roses ………」
だから、この飢え死にそうな情けないヤツに、愛を与えて………
もし私が野薔薇だったら
軽やかに舞う貴方に身を傾け口づける
貴方に触れたいがために開く下技の芽
貴方が愛してくれないのなら
庭の小道に咲く雛菊となって
銀色の靴を履いた貴方に
枯れるまで踏み潰されたい
(愛=与えるもの)
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「ロンドンデリーの歌」より二番
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