『悪い、ミッション入っちまった。明後日には帰ってこられるから、本当にごめんな』
今日の夜、ロックオンが部屋に来る予定だった。夜に来るなんてもう用事は見えているけれど、久々にロックオンに会えるのが楽しみで、ずっと顔が綻んだままだった。
けれど、急なミッション。
これを残念だと思ったら、ティエリアにどんな顔をされるかなんて安易に想像はつくけれど、やっぱり心残りだ。
「何しよう……」
ポカリと予定が空いたことで、アレルヤには時間が余るほど残ってしまった。今日の今では、本を読む気にもなれないし、かといって刹那のところへ遊びに行ってもきっと迷惑なだけだ。
「はぁ……」
ただ、溜息だけが漏れた。
「………ロックオン」
本当なら、今この場にいるはずの彼の名を呟く。会えなかった分、その心の隙間を今日で埋め尽くしたかったのに。
会いたい。話したい。キスしたい。……抱き合いたい。
こんなはしたない考え、ロックオンが聞いたらどうするのだろう。
呆れる?軽蔑する?……笑って、抱きしめてくれる?
「……あ……は…っ」
自分で自分の性器に触れるなんて、どうにかしている。性欲は淡白なはずだったアレルヤは、こうやって自分の意志で性器に触れること事態、ほとんど有り得なかった。
「ぅ……っ…ん……」
指の腹で擦り刺激するたび、勝手に声が出る。たまらなくて、先端を押し揉むと、プクッと透明な液が漏れ始める。
「…はぁ…ロック、オン」
射精を促せるため、性的な想像をする。勿論、ロックオンの。
『おいおい。声、漏れてるぜ』
「うあぁ…ん……」
ロックオンの声を思い出すと、カァッと躯が熱くなるのが分かった。出てくる液を指に絡めて扱うと滑りが良くなり、余計高ぶった。
「あぁ……っ…」
『もうベトベトだな。気持ちいいか、アレルヤ』
「…はぃ……ぁ…」
『ほら、もっと自分で擦ってみて』
「…ん……っ…」
手の動きを速めると、液が泡立ち卑しい音が耳につく。でも、またそれが官能的でどうしようもない。
「……ふうん…ぁ……」
『アレルヤ』
「………ひ…っ……」
『……アレルヤ』
「……あぁ…ロックオン」
もどかしい程の性感に、少し乱暴な動きで先端を掻くと、もう我慢が出来ない。
「も……だめ、……して…」
もう自分の脳裏には、ロックオンがそこにいる。
そして、いつも自分が強請ると、意地悪なロックオンも最後はあの綺麗で細い指が自分の意図するところに触れてくれてーー。
その想像に、ぶるっと全身が震えた。
「あぁぁ……っ…!!」
白濁色の液が勢いよく飛び散り、アレルヤの手と腹部を汚した。
「……はぁ……」
ゆっくりと息を整えて少しずつ平常心を取り戻していくと、残るのは虚しさだけだった。
「……ロックオン」
ほつりと呟く愛しい人の名が、空気に溶けてそのまま彼に届けばいいのにと思った。辺りの温度とは似付かない冷たい涙が頬を伝う。
この涙のもつ意味なんて、今はまだ、考えたくはなかった。
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