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その後、早紀ちゃんにつられるように雨が降り出して、結局少しもプールに入らないまま体育は終わり、あたしや古賀ちゃんは単に風邪をひきにいっただけのようなものだった。

冷たいシャワーを浴びて戻ると、女子更衣室はやけに静かだった。いつものくだらない雑談もなく、みんな黙々と着替えている。狭い室内の空気は、ぴりぴりと尖って肌を引っ掻いたかと思うと、今度はざわざわ擦れ合い、どろっと重く尾を引いて一点に集まった。見えない視線を送られ続ける早紀ちゃんは、目も鼻も真っ赤にしながら隅っこの方で着替えていた。あたしと目が合うと、眉をハの字にして小さな声でごめんねと言った。静かな更衣室にぽつんと響いたそれは、あたしだけに向けられたものじゃなかった。

「――別に、早紀ちゃんが謝ることじゃないと思うよ?」

ぎょっとして振り返ると、古賀ちゃんが淡々と着替えを続行していた。きょとんとした顔の早紀ちゃんやみんなやあたしをよそに、古賀ちゃんはそれ以上を言うことはしなかった。ジャージ姿に戻った古賀ちゃんは、最後に口を開いて、

「教室戻ろ。チャイム鳴る。」

全く場違いというか、予想外の発言を残した。
それを聞いて、部屋の中は我に返ったように動き始め、古賀ちゃんはスタスタと更衣室から出て行った。





















































あきゅろす。
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