たぶん僕らの出会いは、絶対に交わらない平行線上の出会いだったんだ。 急いで入り口まで行くとそこには、短い黒髪の男の子が立っていた。何故か仁王立ちで。 身長は僕より少し大きく、顔は幼い割に偉く整っていた。 「…ホグワーツ……やっと…」 黒髪は何かをぽそっと呟いたが聞き取れなかった。…ていうか、かなり邪魔なんだけど。 「きみ…どいてくれない?」 後ろから声を掛けるが、 「…………」 無視! 「あの…ッ!」 少しボリュームをあげてみるがまた無視! そろそろ降りないと置いていかれる気がして、僕は強行手段に出た。 「きみがわるいんだからね…ッ!」 「…ッ!?うぉあッ!!!!」 見事黒髪君地面着地。 頭から。 自画自賛するのもあれだけど、いつもながら見事な蹴りが決まった。 「〜〜ッ!!!なにすんだッてめぇっ!!!!」 「そんな邪魔な所にきみがいるからだろうっ!」 「あ?だったら声くらいかけろ!いきなり蹴るやつがあるか!!!」 「かけたさ!三回もッッ!!!!!」 黒髪君が掴み掛かってきたが、睨みつけ反論すると、彼はガシガシ頭をかいた。 「あーッ!!ちくしょ、おまえのせいでテンション下がったぜ!どうしてくれんだよ!」 「きみの気分なんかしらない!それにぼくの名前はおまえじゃない!リーマス・J・ルーピンだ」 「あー、そうかい!ならおれもきみじゃねぇ!おれはシリウス・ブラックだっっ!!!!」 シリウスがぼくにつられて吠えると、後ろから大きな声が聞こえた。 「ほらそこの二人!早く船に乗れ!おまえさんたちが最後だぞ」 毛むくじゃらの大男(たしかハグリットっていってた)が、向こう側で手招きしている。 ぼくたちはもう一度にらみ合い、ハグリットの元へ歩いた。 「まったく!きみのせいでさいごになっちゃったじゃないか!」 「うっせえな!ぐちぐちいうな!だからおんなはキラいなんだ!!!」 「………は?」 何を言ってるんだこのおとこは。という目でみるとあちらも同じ様な目でぼくをみた。 「は?じゃねぇよ、おまえおんなだろ?」 「……………」 彼は目がわるいのでしょうか。ぼく、みるからに男子の、きみと同じ制服をきているのに。 「……なにをみて、そう思うんだい?」 「かおとしんちょ…ッぶ、」 バキっ。 シリウスのきれいな頬にきれいな右ストレートがきまった。彼はあぜんとした顔でぼくをみていたので、もう一度睨みつけた。 「ぼくは、おとこだ!」 マジかよ!と叫ぶ声が聞こえたが、無視して船に乗り込んだ。 「おい、おまえさんあの黒髪の坊主…」 「あんなやつ、しらないッ!さっさといこう!!」 (それがぼくらの出会い) (これから、恋に落ちるなんて全く知らなかった平行線上で。) >> 出逢いで5のお題より。 配布元ひよこ屋 . [グループ][ナビ] [HPリング] [管理] |