[携帯モード] [URL送信]




 蒸し暑い、閉切った室内。澱んだ空気の充満する小部屋は息苦しく、酸欠の様な眩暈を感じた。手脚が痺れる、腹部に残る鈍い痛みは一体どうしてだろうかと考えたが何処と無く答えに覚えがあるのでやめた。事実など多分もうどうでもいいのだ、自分には。


 霞む視界の中、きっと彼の想いを遂げるにここは都合の善い箱庭なのだと、そんな思いが不意によぎった。


*************




「嘘吐きですね、10代目は」



 後ろ手に交差させ縛り上げられた両腕を藻掻かせるも何一つ状況は変わる気配など無い。
 仰向けにベッド上へと寝転がされた少年の上体には男が、体重をかけて馬乗りになっている為身を起こすことすら叶わなかった。男は甚く愉しげな様子だったが、その整った皃に浮かぶ笑みなら酷薄さを色濃く宿すそれ、綱吉はこの事態の異様さに言い知れぬ恐怖を覚えていた。

「獄、寺…く……ん」
「駄目っスよ、今更そんなしおらしくして見せたって」
「ちが……オレ…」
「ホラまた、ンなカオしてそーやって上目で見上げりゃオレに許して貰えるとでも思ってんスか? 最近気付きましたよワザとだって……ソレも、」
「!?」
「……、怯えてるフリ」
「な…にいってんの……?」
「確かに可愛いっスねぇ、つか……ええ、まんまとあなたの思惑通りにコトは運んでますよ、」
「なに……」
「まあ、オレも牡ですから? そこらの野郎と結局はおんなじ身体のつくりしてますんでヤリたくなりゃ勃ちますしヒト並にセーヨクだってありますしこんな態度取られたら嗜虐心的なモノも湧くってもんスよ、てゆー」
「っ獄寺く…、」
「10代目のお望みどーりに誘われてますねオレ。ハ…歓んで下さいよ、」
「……わ…わかんな…」

 男が何を言っているのか理解できず、思わず涙ぐんだ綱吉が見上げた先には冷ややかな薄緑の眼。目が合った瞬間深められた彼の眉間の皺が何を意味するものなのかも綱吉には解せなかった。

「…っわかんないよ……」

 視線を合わせ訴えるように呼びかけるその様子に、獄寺が返した反応は何故か舌打ち一つ。

「……?」
「………ンで、」
「へ……?」

「……ッ…なんでそう何べん言っても分ッ…かんねぇんですか…ッ!!」
「っ…!?」

 獄寺の剣幕に怯む綱吉の胸ぐらを無理矢理掴み上げそして続け様に男はその白い頬を撲った、狼藉たる振る舞いに綱吉は息をするのも忘れ目を見開く。彼が自分に手をあげたことが唯ただ信じられない。痛みすら知覚出来ぬまま獄寺を凝視した、真っ白な頭の片隅でふと彼がまだ自分へ敬語を使うこともなかった出逢いのあの日、そんな幾分古い記憶が不意に綱吉の中で甦る。






「ッ………ゅ…代め…、」




 絞り出す様に紡がれた、嗄れた声。激昂の名残か今も獄寺の呼吸はひどく荒れていた、俯いて長い前髪の影になっている為表情は窺い知ることが出来ない。暫しの沈黙が過ぎった後、男はゆっくりと緩慢な動作で思い出したように綱吉を抱き締めた。だが、むしろそれは抱くというよりも縋り付くといった形容が相応しい姿で。

 耳元で囁かれた言葉はあまりにも不安定に宙を震わせた。





……ねえ、

「…………じゅうだいめ…オレもう、疲れたんです。」











漂流街












「すげ…めくれてる、ココ。……ンなにグズグズにしちまって、」

 赤く爛れた様なソコは熟れた果実を想起させ獄寺は思わず生唾を飲み込んだ。
 綱吉のその場所は今やとろんと口を緩ませ、男の指が出入りするのを容易く許している。その上獄寺が口を付け執拗に舐め嬲った為にじゅるじゅると陰莟は濡れ蕩け、唾液や綱吉自身の淫液腸液と混ざりあい酷く淫猥に乱れきった様相であった。最早、蕾と言うよりは女陰のそれに近く、拡ききったソコは肉感、色、質どれを取っても牡を誘い受け入れる為の花弁と言うに相応しい。ヒクヒクとひくつき、今も獄寺の指を咥えたまま綱吉の体内は物欲しげに蠕いては更なる快楽を求めていた。

「オレの指、そんなに旨いっスか? ナカ食いついてきてますよ10代目、」
「ひあ…ッ、ア…くぅ、っんぐ…っン」

 どろどろと粘り付く襞を指先で掻き混ぜる様な獄寺の手つきに腰を捩じらせて声を漏らす綱吉、その猥らな姿になお一層煽られて男は指の動きを速めた。次第にそれを抜き挿しのかたちに変えて深く浅く、時折関節や指の腹を内部の肉壁へと擦り付けながら弄りまわし綱吉の反応を愉しむ。焼けた様に熱い内側はもう既に何処もかしこも性感帯と化しており、獄寺の気儘な指端の動き全てを快感と捉えては翻弄され。あられもなく上がる嬌声は耳朶を強かに叩き男の中の欲情へと油を注いで止まずに図らずしも綱吉は獄寺をその躰全体で誘っていた。蜜のように甘芳な色香の何と艶めかしいことか、本人自身に自覚が無いことに言い知れぬ原罪の匂いを嗅いだ気がした。

「……、酷ェ…、」
「っンぇ…?」
「ッ…ヤラシイっつったんスよ、あんまり淫乱だから。ホラ、」
「っ…あ、アぁい、や、やらあっ」
「…10代目の可愛いチンポだってこんなだらっだらとヨダレ垂らしまくっちゃってますよ、オシリだけでンなになっちまって恥ずかしいっスよねえコレ?」
「や、やらぁ…っちが、み、みないでおねが、」
「見んなって言われてもこん…な主張してちゃあ無理な要求っスよ、少し触れてやっただけですんげえ溢れてきますし、
…面白ぇくらい」

 言葉通りはしたなく濡れそぼつその幼茎に、下卑た視線を向けながら獄寺は広い掌でソレを包み緩慢に玩弄してみせる。後から後から止め処無く零れ出る愛液に気を善くして滑らかにぬめるまま徐々に手付きを速めていった。我慢出来ず淫靡に揺らめく細腰がしどけなく牡を誘惑する、綱吉の悲愴ながら逸楽に染まりきった猥ら声は遮るものもなしに甘く室内中に木霊し。

「…ッこすっちゃやだ、っや、やめてよぉ…! ッでちゃ、ア、……ぉんなにっこしこししたら、」
「『こしこししたら』? 沢田さんのココは……こうするとどうなるんスか? びちゃびちゃ自分で垂らしたいけねえ汁掬ってなすり付けながらオレに扱かれたらどうなるっつーんスか?」
「ひや、ヤら、ぁそんなこと…言わっ……ッい、ぁアああッッッ!」

 卑猥な単語ばかりを選んでその耳元に吐き掛ける容赦無い男の声が。羞恥心の根元を揺さ振り響いて背筋を堪えようもない痺れが走った、開放への願望は抑止力を裕に凌駕しいとも容易に放出される。

「…あっけね」
「っは…はア、は、ハぁ……ひ、………ひぉ、ぃよおォ……」

 綱吉の淫口をまさぐる利き手はそのままに、空いている手で片手間に扱いてやるだけで簡単に達し震える幼い肢体。前後一時に襲い来る衝撃に頑是無く声を上げ悸くその様子に獄寺はまた一段、下腹部の疼みが増すのを感じた。びくびくと痙攣する白い脚を見遣りながら不意に目に入った綱吉の足首の細さに思わず喉が鳴る。


「……10代目…、一人でヨくなって勝手にイったりしちゃあ駄目じゃないスか、」
「っふあ、ンえ……?」

 一旦指を後孔から引き抜くと男は覆い被さっていた体勢から身を起こし、そのまま肩を掴んで綱吉の上体も引き上げた。だが全身を苛む快楽によって全く力が入らない上、両腕を縛られている為にバランスが取れず前のめりに崩れたその躰を支えることもせずに獄寺は肩と膝だけで綱吉を四つん這いにさせる。

「…コレ、」
「! んぐ…っ」
「舐めてくれますよね」
「っ…むンんッ、」

 ジッパーを下げ男は無造作に片手で屹立したペニスを引きずり出すと否応も無く綱吉の唇にソレを押し付けた。細い頤を無骨で大きな手が掴み、無理矢理開いた隙間へ獄寺は自身の性器を捻じ込み口腔その奥喉元まで情け容赦無く押し入る。突然の侵入に噎せ返った綱吉に構わず続けて後頭部を掴み口内から吐き出せないよう頭を固定した、息苦しさを訴える少年の双眸に涙が浮いていようが平然と、むしろ獄寺は愉しげな笑みで口の端を歪め見下ろす。その視線に怖気を覚えても今綱吉にはこの状態から逃れられるすべなど残されてはいなかった、無情にも未だ拘束されたままの両腕が軋んで、また改めて今一度己の無力さを思い知らされる。

「……大ッ…好きでしょう、ねえ」

 ぐいと腰を押し付け、綱吉の髪に指端を絡ませ撫で梳きながら男は熱い息と共に語を紡ぐ。問い掛ける形のその言葉はしかし返答など初めから望まれてはおらず、獄寺の独り善がりな独白は恍惚と宙へ融けた。
 何度も何度も頭を撫ぜる手、それはしかし優しさからでは無く愛玩物に対して施す自己満足的なそれの様な気がした、思い当たった不安。されど綱吉は目を逸らす、行為に没頭するふりをしてそれを脳裏から振り払おうと。瞼を閉じ無心に肉刀へしゃぶりつく、粘った淫猥な水音と共に零れた唾液が口角を伝った。
 鼻腔をつき噎せ返る程、強烈な牡の匂いに脳天がじんわりと痺れる様な感覚にとらわれる。

「…ッハ、そう…くびれ、舌這わせて…、」
「ふ、んぐ…っンンー…ッ、ふぁ、…、」
「…ッ…イイ線いってますよ、…10代目、…カリも吸ってみましょっか、…舌使ったまま出来ますか、」

 えらの張った雁首、先端をねぶれば口内に濃い性欲の味が塩辛く広がった、嚥下しきれない先走りの欲汁が溢れ綱吉の小作りな頤、次いでその華奢な喉元迄をも汚す。
 擬似的な肉筒であるそこを強引に犯す長大な勃起は少年の口腔の中で更にその体積、質量を増していった。呼吸も儘ならぬ状況下、酸欠気味に白む思考で。太く長いソレを舌と口唇で愛撫するうち次第に綱吉の後孔までもが切なげにひくつきをみせ始める、余りにも生々しい男性器の有り様に五感を支配され思わず下の口で咥え込んでいるかのような錯覚を覚えてしまうのだ。淫らな味も匂いもリアルに直接伝わる脈動、体温もそのどれもが性交時のあの感覚を顕著に躰へ思い出させてしまう要因となった。それらは是非も無く快楽の奔流へと綱吉を陥れ苛む。

「んンー…ふ、く…」
「腰なんかむずかせてどうしたんスか、まさかオレのチンポしゃぶりながら独りで想像してヨくなっちまったとか? 知らなかったスよ、…よく覚えておきますね10代目が本当はこんなにイヤラシイヒトだったって、」

 吐き捨てるように呟くと男は再び綱吉の内部へと指を突き入れた、前触れも無く一時に二本食まされたその場所は淫らに口を開閉し内側は熟れきって汁を纏いながら獄寺の指先を愛撫するかの様に吸い付く。熱く蠕動するソコを挿入した二本の指で抉じ拡けそのまま更に一本次いで二本と蹂躙の指を増やした、一挙に四本咥え込まされてもなお、未だ少年のその場所は物欲しげに蠢いてみせる。

「…スッゲ、」
「っンン、くぅ…ッ!」
「……まだ足んねえって、言ってますよ10代目のココ、」
「…ンーッ…んぁ…ふ、」
「やっぱ、」
「ひア! は…ぅ、ンンん…、」
「10代目はホラ、コッチのお口で食わねえと満足出来ないっスよね?」

 無意識にも男の言葉に肯定を。
 頷いた綱吉にならば最早、理非を問う意思など残されてはいなかった。



Next≫











第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[グループ][ナビ]
[HPリング]
[管理]

無料HPエムペ!