[携帯モード] [URL送信]

かげろうのすみか









とおくたゆたう瀾のはて。
彼の場所は、誰をも沮むふかい森。

眠れぬ昃い宵の淵。
どうして僕を緤ぐのですか。

どれほど意いを縲ねても。
どれほど體を累ねても。
そこにはひとり、曠しさという曖闇の虚独。

拭えない縟わしさのなまえを、縻とよんでしまったら、あなたはそれを虚妄というか。

ここは曚い、誰もしらない場所。
純潔と独裁の滿ち滿ちた部屋。
そこはとても不条理で、とても優しい。
勾引かされたと気付いていたとて、此処から外に出る術などしらない。



絶頂と墜落。崩壊と新生。現実の硲、これは幻か。



僕は泅ぐ。
溟く溽つい浴室の湯に湎れる。
あなたの残像をこの狭い瀛のなかに見る。
忘我する。灼熱に浸される。そして焦熱の極点を見る。




それが欺瞞ですら悦んで甘受しよう。
いつわりでもそれが心地よい。



すべてなのだ。
なにもかもがここにある。
すべてが、あなたにある。






陽炎の棲処。それは苛且のまぼろし。









      fin.
   #20060510

















あきゅろす。
[グループ][ナビ]
[HPリング]
[管理]

無料HPエムペ!