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ボディーガード×会長




吉村空良ーヨシムラソラー
183cm
金髪、俺様生徒会長
老け専


綾部悠里ーアヤベユウリー
165cm
王道転入生


篠田剛ーシノダゴウー
189cm 23才
黒髪で刈り込んだ短髪
空良のボディーガード
三十代後半に見られる老け顔、マッチョ





*******




ガヤガヤ楽しい昼食の時間。


そんな風になるはずだったのに、一人の転入生のせいでとてもピリピリした昼食になっていた。



「なぁ!それ一口俺にくれよ、空良!!」



数週間前に転入してきた転入生、綾部悠里。彼は色んな意味で規格外な人物だった。


某BL王道転入生を地でいく、容姿と中身。


この美形万世の学園では、すぐに転入生は排除すべき危険人物となっていた。


しかしこれまたテンプレ通り、学園の美形達はこぞって転入生に惚れ込んでいた。


ただ一人を除いては……。



「ハ?嫌に決まってんだろ?何で俺がお前に一口やらねぇといけねーんだよ…」

「お前じゃなくて、悠里だろ!!全く、空良は何時になったら俺の名前を呼んでくれるんだよ!!」

「うるせーから、耳元で騒ぐなアホ」



この学園の頂点に君臨する、吉村空良。圧倒的容姿、オーラ、カリスマ的性格。まさに絶対的王者として相応しい彼は、この話の通じない転入生に日々悩まされていた。


他の役員達の様に一向に転入生に落ちる様子を見せない空良に、悠里は執拗に固執して四六時中つきまとい、俺に構え構えと煩く騒ぐ。


そんな様子に会長親衛隊が黙って見過ごす訳もなく、他の美形達の親衛隊と一丸となって大規模な嫌がらせを行っていた。しかし、そんな事でへこたれる転入生ではなく、それにストレスを感じる親衛隊。


学園の雰囲気は過去最悪なものとなっていた。



「たくっ、そんなんだから空良は友達が出来ないんだ!!それに親衛隊とかいう、せ、セフレなんて作ってっ!」

「ハ?お前何言ってんだよ…」

「そうだ!空良は寂しいからせ、セフレなんて作ってるんだろ?だったらこの俺が恋人になってやる!!そしたら空良も寂しくなくなるだろう!!」



その瞬間周りの生徒達、主に親衛隊から悠里への罵倒が飛び交った。


いきなり事実無根な事を言い、あまつさえ恐れ多くにも会長の恋人になってやる等とは、言語道断。本当に意味が分からない。


そんな親衛隊からの罵倒や鋭い憎悪の籠った視線などをもろともしない悠里は、空良の近くに移動した。


暫しの間ぽかんとした表情をする空良だったが、すぐに拒否の言葉を吐く。



「お前が俺の恋人?ふざけたこと言ってんじゃねぇよ。断る」

「な、何でだ!!俺の告白を断るなんて、そんなのありえない!!」



空良の言葉に悠里は喚き、生徒会役員や他の転入生信者達は驚き憤慨する。


これが例えOKしていたとしても彼等の反応は変わらない。周りが見えなくなっている彼等は、結局は自分の思い通りにならない事には子供の様に怒鳴り散らすのだ。



「しつけーな、付き合わないもんは付き合わねぇんだよ」

「そんなのダメだ!だって、俺は空良が好きなんだ!!だから、空良も俺の事を好きにならないといけないんだ!!」



癇癪を起こし駄々をこねる悠里に、空良はめんどくさ気に口を開く。



「はぁ―……、俺はネコなの。お前もどうみてもネコだろ?だから無理」

「は、………空良がネコ…?そんな、そんなの、嘘だ!!空良がネコなんて……」



空良の衝撃的なカミングアウトに悠里だけではなく、他の生徒も大層驚いていた。


会長親衛隊の中では倒れる者もいるくらいだ。


そんな彼等を面白そうに眺めてニヤリと笑った空良は、悠里の股間を鷲掴む。



「ギャッ!!!」

「それに俺が、お前みたいな粗チン相手にする訳ないだろ?てか、お前ほんとチンコちっせぇなー」



むぎゅむぎゅと遠慮なしに悠里の股間を揉む空良。


悠里は絶句し固まり、周りも一緒になって固まっている。その中でいち早く我に返った副会長が、未だ悠里の股間を揉み続ける空良を止めようと手を伸ばせば、その手より早く何者かの手によって空良は離された。


突如現れた刈り込んだ黒の短髪と、体格のいい体を黒のスーツで纏い、老け込んだ顔をサングラスで隠す大男。


その男は空良の腕を掴んで、悠里と距離をとらせている。


周囲が呆然とする中、空良だけが楽しそうに笑ってその男を見つめていた。



「やっと出てきたな?何処に隠れてたんだよ、篠田」

「全く貴方という方は、こんな公の場で何をやっているのですか!」

「だって、そこの粗チンが訳分からん事でうっせーんだもん」

「ちょ、ちょっと貴方誰なんですか?!」



二人の会話を割り込むように副会長が入れば、篠田という男が空良の前に出た。



「申し遅れました、私は空良様のボディーガードを勤めております、篠田です」

「オイ、そんな奴どうでもいいから早く部屋行ってヤろうぜ?」

「空良様!だから、そのような下品な言葉使いは止めて下さい!」

「ったく、相変わらずお堅いね、お前は。どうせ堅くすんなら、ここを硬くしろよ…」



そう言って今度は篠田の股間に手を伸ばす空良。


悠里の時とは違い、さわさわと撫でるその手つきは何処か厭らしい。


いきなり始まった妖しい雰囲気の二人に、周囲の生徒は顔を赤くしながらも視線はガッツリ二人を捉えている。


その時、今まで固まっていた悠里が顔を最大限に赤くして、篠田に噛み付いた。



「な、な、そこのお前!!オッサンの癖して空良にセクハラするなんて、最低だ!!この、ロリコン!!」

「否、セクハラしてんのは俺だけど、それに色々とお前は間違えてるぞ」



空良の発言にその場にいた生徒達は、心の中で頷いた。


セクハラしているのは空良の方だし、ロリコンとは幼い女の子、つまり幼女をさす言葉だ。空良は幼くもなければ女の子でもない。



「う、うるさい!とにかくお前、恥ずかしくないのか!?いい年オッサンが空良とイチャイチャして!!」

「ぅ、ハハハハっ!篠田、お前、ふ、オッサンだって、ぅ、ふ、ハハハハッ―――」

「そ、空良…?」



突然笑いだした空良に、悠里は困惑を滲ませた瞳で空良を見る。


空良の隣にいる篠田は、何故か肩を落として落ち込んでいた。



「ハハッ、悪い悪い、コイツこう見えてまだ23だぜ?」

「に、23?!嘘だろ?!」

「嘘じゃねぇよ、篠田は正真正銘23才の男だ、な、篠田?」

「……………はい」

「老け込みすぎだろっ?!」



初めて悠里と意見が合った生徒達。


サングラスをかけた上からでも分かるその老け込み具合。寧ろ、サングラスがもっと老け込んで見える要因なのかもしれない。


しかし、周りの者はけして口には出さない。注目されたくないのもあるが、何より篠田本人がとてもその事で落ち込んでいるように見えるからだ。


それに気付かない悠里は、オッサンオッサン、老けてる老けてると連呼し、更に篠田は暗くなる。



「んだよ、気にしてんのか、篠田?」

「……………………いえ」

「嘘つけ、……俺はお前が老け顔でも気にしないぞ?寧ろ俺好みだ」

「…はぁー……貴方も随分物好きですね」

「お前ら、俺を無視すんなっ!!」



相手にされない事が不満なのか、悠里はズカズカ二人の間を割り込んでいく。


鬱陶しそうな顔をする空良に、悠里は構わず触れようとしたが、あえなく篠田によってそれは阻止された。



「イタッ!お前、何すんだよ!!そこを退け!!」

「いいえ、退きません。空良様に害を及ぼす者は、この篠田が一切許しません」

「篠田、そんなに俺の事を………!」

「いえ、私はただ仕事で…」

「篠田ーーー!」



がばりと抱き付く空良を、軽々と受け止める篠田。


周囲は次から次に起こる展開に、もはやついていけずにいた。



「よし、今すぐ部屋へ行くぞ!」

「ちょっと、空良様!この後も授業があるのでしょう?ダメですよ」

「いいだろ、少しくらいサボったって………それより俺は早くお前のその硬くて大きい物で、ぐちゃぐちゃの滅茶苦茶に突いて欲しいんだよ…」

「そ、空良様!!何を言っているんですか!!破廉恥です!!」

「ほら、いいから行くぞ」



ぐいぐいと引っ張る空良に、篠田は顔を赤くし文句を言いながらも結局は着いていった。


後に残された生徒達は、急に馬鹿らしくなって普通に食事をとり、転入生の信者達もあまりのショッキングな二人に正気に戻って、真面目に仕事をしだすようになった。


その後も転入生だけは変わらず空良につき纏い、その度に粗チン、粗チンと空良に連呼され自信喪失して大人しくなるのは、もう少し後の出来事だった。


おわり


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