「瑞垣、未成年の飲酒は法律で禁止されとるんじゃぞ」
「まぁ、固いこというなって」
怪訝な顔をして睨みつけてくる海音寺に瑞垣は、ニヤリと笑って返した。炬燵に入りながら、プシュッと良い音を立てて缶チューハイを開ける。
「何、一希ちゃんったら飲酒したことないわけ?」
「姉貴に飲まされたことはある、ちょっとだけじゃけど」
自分の意志で飲んだことはないっていうことか。海音寺らしいといえばらしいな。
「おめでたい日やん、今日ぐらい飲んだてバチ当たらん」
「それやったら、明日行く初詣で甘酒もらったら良いじゃろう」
「甘ったるくて嫌いなんや、あれ」
瑞垣、甘いもん嫌いじゃもんなぁ
海音寺はそういうと、それじゃあと一つ咳払いをした。
「今日だけじゃぞ」
「ありがとーございまーす」
嬉しそうに瑞垣は缶チューハイを口元に運んだ、かと思うとぴたりと動きをとめた。
「なんじゃ?どうした」
「一希ちゃんも飲まない?」
「は?」
「飲めないっていう訳じゃないんやろ?」
「パッチテストは大丈夫じゃった、けど」
それを聞くと瑞垣は新しい缶チューハイをビニール袋から出すと、海音寺の前にぐっと突き出した。そしてニヤリと笑った。
「…、今日だけじゃぞ?」
「勿論」
そう言うと、海音寺はプルタブを引いて缶を口元に運んだ。
「一希ちゃぁん」
「…瑞垣、酔うとる…っわぁ!」
缶を捨てに行こうと立ち上がったところ、いきなり瑞垣が足にしがみついてきた。そのままバランスを崩して、瑞垣の上に倒れ込んだ。
瑞垣の息がかかるほどに顔が近くにある。
「瑞垣、あ、危な……っ!」
ぐいと、両頬を挟まれて引っ張られた。そのまま、ちゅっと軽く口づけられる。びっくりして顔を離す。しかし、今度は後頭部を捕まれ引き寄せられる。
「一希」
「っ、な、んじゃっ!」
実は酔っているふりをしているだけではないのだろうか、そう思うほど瑞垣の瞳は真っ直ぐで、貫いてきた。瑞垣のこの瞳に捕らえられると、なかなか抜け出せない。
ふいに力を込められ、瑞垣の胸に鼻をぶつけた。つんとした痛みが走る。瑞垣は海音寺を抱きしめるように足を絡ませ、手を背中に回してきた。
「っ瑞垣!悪ふざけはほどほどに……え?」
瑞垣の顔を見た。目を瞑っている、規則的に呼吸を繰り返す。もしかして、寝たんじゃないじゃろうな?
心臓が痛いほどにどくどくんと脈打っている。こんな状態で、どうしろというんだ。瑞垣は俺を殺してしまう気なのだろうか。
「一希」
「っ、」
瑞垣が目を閉じたまま、更に力をこめた。より密着し、更に俺の心臓は悲鳴をあげだす。どきどきして、本当に、苦しい。
なのに、瑞垣は留めの一言を放った。これは本当に寝言なのだろうか。
「愛しとるで」
瞬間俺のハートはジャックされた
(っ、どうしてくれるんじゃっ瑞垣!)(心臓が今にも破裂しそうじゃ)
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飲める一希ちゃんと飲めない俊二君のお話。
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