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お茶係り神子

湯を沸騰させてはダメ。
かといって、温すぎるのもダメ。
マイハニーは気むずかしい猫だから。

こんなことしたことないから、よく分かんねぇよ。
いつもは施される側だからさぁ。

まずは、ティーカップを温めないと。
ただの湯を注ぐそうだ。
冷たいままで紅茶を淹れると、味が劣るらしい。
耳タコが出来るほど、ハニーに言い聞かされた。


『ゼロスよ、紅茶が飲みたいな』


すべてはこの一言。
いつもはゲロ甘コーヒーなのに。
ハニーの気まぐれに他ならない。

でも、そんなアンタでも好きなんです。
こんな一面も含めて、大好きなんです。
俺様、マゾじゃありません。
むしろ、いじりたい側です。
惚れた弱みってモンです。

角砂糖も入れておかないとな。
えっと……。
一杯につき六つだったな、確か。
クラトスは激甘党だからな。

「はい、お茶が入りましたよ〜」

「……ご苦労」

リビングのソファの上。
アンタはさっきと変わらず、読書に勤(いそ)しんでいる。
小難しい何かの書物みたい。

その正面のテーブルの上に、そっと給仕した。
白い陶器に包まれる、湯気が立つ褐色の液体。

アンタの白い指先が、そのカップを持ち上げた。
陶器の装飾すら、俺様の天使の美しさには及ばねぇな。
その桜色の唇が、白磁に触れる。
そして、真っ白な喉仏が蠢いた。
あぁ〜っ!
今だけ、紅茶になりてぇよ……!!

「不味くもなく、温度も適当だな」

「ど〜も、ありがたき幸せ」

カップがソーサーの上に戻された。
すると、アンタはこちらを一瞥した。

「……あの店のプリンが食べたいな」

脚を組み直す動作が、色っぽい。
本の表紙越し、鳶色の双眸がこっちを見つめている。
そんな嬌笑も浮かべられると、俺様二桁はヌけるな。
股間が保たねぇよ……!
俺様の優秀な種袋が爆発したら、どうしてくれんのよ。
アンタとの子孫が残せなくなっちゃうよ。

「どうした? 私とて、いつまでも寛大なわけではないぞ?」

以前、お土産用として買って来た高級プリン。
ごますり用のプリンでした。

「私はロイドの下に帰ることすら──」

「メルトキオ一人気のプリンをすぐに買って来ます!」

……夜、覚えてろよ。
寝かせないし、イカせないからな。

「五分以内に買って来るのだな」

アンタが指定した時間。
ここなら往復で倍近く必要なんですけど。

泣くまで、ヤってやる。
アンタが妖艶な笑みを浮かべたのは、今晩は了承ってことだな。
煽るのが上手いよ、ホント。
クラトスには適わねぇ。

END

女王様クラトスと、下僕ゼロス。
ハニーといちゃつきたい神子様の一声で、セバスチャンやメイドは一斉休暇中です(笑)



あきゅろす。
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