ボク達は終わりに向けて歩き続ける。


.神威.

※死ネタ、捏造設定注意





「気にすんな…返り血だ」

そう、息を切らしていった君の言葉をどうしてボクは信じることができたのだろう。正常な思考が働くほど体力が残っていなかったからなのか、状況に焦っていたのかどうかはわからない。

もうボク達は戦いに疲れていて、ほとんど守るものも残っていなかったけれどそれでも何かのために戦っていた。

サタンはラグナロクがどうとか言っていたけど、もうボクはただ生きるために戦っていたんだと思う。

きっと君だってそうだ。自分の野望に忠実だった君が自分のために戦うのは当然だったから。

「行け!!」
「アルル、早く!」

搾り出す様に叱咤する君と、迷宮の出口でボクを呼ぶルルーの声に反射的に駆け出した。

ボクは言われるままに、だったのだけれど、たぶんルルーは知っていたんだろう。だからボクの名前しか呼ばなかった。

崩れていく迷宮の中、君の名前は、呼ばなかった。



ああ、だってボクは信じたくなかったんだ。君の足元に広がる赤、が、君の中から出たものだなんて。

だってあれは致死量、の。



言われるままにボクは走った。もう思考なんてしている余裕なんてなかった。

ボクの前を走るルルーがひく手は乱暴だったけれど苦痛ではなかった。もつれる足を動かすだけで精一杯で、ぜいぜいと酸素不足に喘ぐ肺が苦しかったけれど、こんなもの。こんなもの。



口いっぱいに赤いものを吐き出した君に比べたらきっと大したことない。


視界がかすんだ。目の前が滲んだ。それでも走り続けた。

崩れ落ちる迷宮から、君をおいて。





あまりに突然だったからよく分からなかった。迷宮から出てみればもうただの残骸、瓦礫の、やま。

「アルル…?平気?」
「…ん」

気遣うルルーの声が聞こえる。ルルーだってもうぎりぎりのはずなのに。
ボクは立ち上がった。ルルーも顔を上げて赤く染まる空を見上げる。

涙をながす暇はない。
行かなきゃならない、戦わないといけない。

だってボク達は戦いに疲れていて、ほとんど守るものも残っていなかったけれどそれでも何かのために戦っていた。

守るものがひとつずつなくなっていくこの世界、もうボクはただ生きるために戦っていたんだと思う。

きっと君だってそうだった。自分の野望に忠実だった君が自分のために戦うのは当然だったから。

だからそんな君が最後に言った言葉が耳の奥から離れなくて。





ボク達は創造主に挑む戦いをし続ける。







(生きろ)



.終わりに向かって.

真魔道の設定によるとこの人たち500年に渡る戦いの末にバッドエンドとかとんでもないことになっていた気、が…。
そんなこんなで捏造。

1人ずつ仲間が死んでいく演出は小憎いほどに好きです。アニメセーラームーン最終回とか(ネタが古すぎる)




あきゅろす。
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