.続・睡眠つぶし.


「お前が欲しい今すぐ寄越せお前の全てを、俺に」

ゆらり空間を歪ませて突然現れた彼は捲し立てるようにそう言った。彼がそんなことを言うのは割りといつものことだったんだけれど(その度ボクは彼を勢いとノリとで吹っ飛ばしてたんだけど)、その余りの剣幕にボクは思わずその場に固まったりとかしちゃったんだ。

(ええとちょっとまってよ)

何をそんなに焦ってるのか知らないけど、シェゾ?君の周りがとても黒いよ?まぁ君は闇の魔導師だから闇を纏うのは当然なのかもしれないけれどそれにしたって尋常じゃない。

だってほら、君の綺麗な銀の髪が、闇に透けて黒く見えるし、せっかくの美形が据わった眼で台無しだ。

(違う違う違う!!)

ボクはこんなことを呑気に考えてる場合じゃないんだ!!だってほら、これはきっと逃げないと。

でないと。

「アルル」

びく。低い声に肩が震える、思わずボクは見上げてしまったダメなのに。やばい、やばい。彼の顔は思ってたより近くにあった。

(あぁ黙ってれば美形なのに)
的はずれだと分かっていても思ってしまった。彼は闇の魔導師の癖に瞳は綺麗な空色だ。光を受けてキラキラ光る彼の決して長くない筈の銀の糸が、ボクの、眼に、かかる。

(近 す ぎ る !!!!)

どきん。

的はずれにも高鳴るな!!彼が欲しいのは魔力だボクの。ああでも彼の吐息がボクを支配してしまう。シェゾってこんなキャラだったっけ?(ああそれはむしろボクだなんでときめいたりなんか)

「ど、した…の」

やっとのことで絞り出す。彼は、きぅ。眼を細めて睫毛を奮わせる。瞳に見えた憎悪ですら彼を彩るのは彼が闇の人だから?さらり、彼はボクの髪を掬う。ああなんだってこんなこと。彼の唇が、動く。

「お前が、」

欲しいって言ったら変態!!って言って突き飛ばせばいい!!それでいつも通りだ!!そうだそうしよううんそれがいいよ。
ああだけどたとえばもうこのままで、なんて思ってしまうボクは。

(馬鹿なのだろうか)




.強制終了.


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