.睡眠つぶし.

大気が動く。ああもう全く。

「はーっはっはっはっはっ!!」

全くもって腹立たしい限りの喚き声をたててそれは事もあろうか無遠慮にも我が寝室に現れた。全くこれから寝ようというのに邪魔してくれるなんて悪魔の所業、いや実際コレは魔王なのだけれど。

「帰れ変態」

歯に衣なんて着せる必要はないから一言そう言えば、それはお前だろうなんて言い返されてああもう全く腹立たしい!!

誰が変態だ!!どいつもこいつも!!

「おいシェゾ、今昼だぞ、いい天気」
「煩い、だから寝る」

俺を誰だと思ってる。闇の魔導師がなんで好き好んで例えば太陽の下ジョギングなんてする訳が?別段毎日という訳じゃない、たまに光を避けて何が悪い。

「うっわネクラだヲタクだキノコ生えるぞ変態だ」
「五月蝿いわ!!」

ああもう全く腹立たしい!!耳元でそれはブツクサといちいち、遠慮とか配慮とかいうものはないのか(部屋に勝手に入ってきている時点で何もないが)

大体にしてコイツはこのテンションが腹立たしい。何時だってふざけているようなテンションが。そして俺もコイツ(と愉快な仲間たち)と同格に見られるのが不愉快だ。
更には(実はこれが一番不愉快なのだが)こんなナリで魔力は俺より高いのだ。まともにやり合えば勝ち目は薄い事を認められないほど弱くはない。

「…何の用だ」

仕方がないから聞いてやる。コレで特に何もないなんて言いやがったら。

「ん、別に」

…………今すぐ口に闇の剣突っ込んで時の狭間に埋めてやろうか。


ああもう腹立たしい。すぐにでもコイツを凌ぐ魔力が欲しい。強大な魔力が。魔力が、そう、アルルだ。アルル、が。

ぎしり。スプリングが軋んだ音をあげる。口から出る空気が黒い。己の中の憎悪が湧き上がるのに合わせて身体を起こした。

「なんだ、結局出掛けるのか」
「アルルをモノにしてくる」

言えば、そいつはそれこそ魔王の形相で、アルルは我の妃だこの変態だのと吠えていたが、それを無視して転移の呪文を口にした。

ああもう何かとあれば人を変態だの何だの。

「貴様はあの黄色饅頭と添い寝でもしてろ」

言い捨てたところで大気が動く。


ああもう全く腹立たしい。



.next?.



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