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人間とボーカロイドの違いは消えないもので。
僕の心の中にある不安も消えないもので。


消えない不安、消えない笑顔


遅い。
平日はいつもなら8時には帰ってくるのに。
部活が長引いたとか?
急にバイトが入ったとか?

せっかく料理作って待ってたのに、冷めちゃうじゃん!

溜息しか出なくて、無意識の内に時計を見ている自分がいる。
マスターどうしたんだろう。
ま、まさか交通事故!?
強盗!?悪い奴にさらわれたとか!?

嫌な展開しか思いつかない。
ど、どうしよう。
でも僕はボーカロイドだから外には出ちゃいけない約束。

カーテンを端に寄せて暗い空を見る。
雨、降ってきちゃった。

そこで気づいた。
マスター傘持って行ってない!
傘、渡さなきゃ!
僕は急いで傘を持って玄関を出ようとする。

「あ、駄目なんじゃん」

バカな僕。
家から出ちゃ駄目なんだよ。

人間なら、僕が人間なら外に出て、マスター迎えにいけるのに...

目が熱くなる。
何か出そうなのに出ない。
ボーカロイドは涙なんか出ないから当たり前なんだけど、こんな自分が情けなくて、目が熱くなる一方だった。

マスター...早く帰ってきてよ...

僕は玄関に座り込んだ。
僕は今、とてつもなく人間になりたいと思った。
だって、マスターが人間で僕がボーカロイドなんて、どうして。

おかしいよそんなの。
なんでよ、なんで

「レン…?」

声がした方に視線を送るとマスターが困った顔をしていた。
帰って、たんだ...

「マスター…」
「どうしたの?なんでこんな場所で座ってるの?」
マスターが首を傾げる。
無性に安心して、体が震えた。

「なんで、早く帰ってこなかったんだよ!」
「え、なんでと言われても...」

あれ、なんで僕マスター困らせてるの?
違うよ、笑顔でお帰りって言わなきゃ駄目なのに。

「レン、一緒にお菓子作りたいって言ってたから材料を」
そう言いながら手に持っていたスーパー袋を僕に見せた。

「雨の中?傘持たないで?」
「うん、そういうことになるねっ」

なんで、なんでそんな笑顔で。
意味わかんない。前に言ったことなんて忘れてると思ってたのに。

「なんで、そこまでするの?」
「そうだなあ。レンは外に出れないし、なるべくレンのお願い事は叶えてあげたいんだ。一人じゃ寂しいでしょ?あ、でも私が一緒にお菓子作りたかっただけかもいれない」

あははっと笑うマスター。
僕、寂しかったのかな。わからないけど、

でもマスターとは一緒にいたいよ。
一秒でも長くさ、一緒に

「…バカ」
「ええっ、バカだと?」
「バカだよ!マスター帰り、遅いんだからぁ...っ」

駄目だ。しゃべり方おかしくなる。
この前マスターが泣いていた時みたいだ。
涙は出てないんだけど、同じ。

「そ、そうだよね。ごめんねレン」

焦ったかのようにマスターは僕の頭を撫でた。
そうだよ。人間じゃなくたってマスターに触れられる。
声が聞ける。話せる。姿が見れる。
これだけで幸せなんだ。

「ご飯、食べようっ」
「そうだね、今日のご飯なにかなあ」

「あ、マスター、」
「ん?どうした?」

じゃあ、とびっきりの笑顔で迎えるよ。

「おかえり!」



⇒おわり


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なんだかシリアスですまない...
レンきゅんにお出迎えされちゃったら萌え死にしますよねД`* (黙

とりま、相互有難うございます!
これからもよろしくお願いしますねwww

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あきゅろす。
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