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久しぶりにきいたのは、ヒバリが怪我をした、というやつだった。
長期任務で(いつものことだけど)長い間音信不通、いい加減生死が気になっていたら、怪我をしていた。それも死ぬような怪我。血がいっぱいでて、何日も意識が戻らないような。だけど死ななかった。あいつは絶対死なないんだ。だから、善いじゃないか。
ぼろぼろになって帰ってきたヒバリには、まだあっていない。怪我人らしくおとなしくしていればかわいいものを、見舞いなんてしたら調子にのるにきまってる。
そうおもっていたら先日、疲れたこえの10代目から直接おはなしされた。だから、いくことにした。10代目の負担をすこしでも減らすために。
そうお伝えすると、10代目は少しだけはずんだこえで俺の休暇を告げた。やりかけの仕事を片して俺のいない間の細かな手配をして(そう長い間ではない。けれどデスクワークを任せられるようなやつは残念ながらいない)明日、明日うるさいやつのところにいくことにした。たぶん毎日いかなくてはいけない。あいたくない…わけじゃあないのだけれど、ほんとうに、正直にいうとうれしい、でも嫌。ヒバリをすきだということはいまさら否定しないけど、それは嫌いじゃないってことではないとおもう。
俺はヒバリがすきだけど、同時に大っ嫌いなんだ。
そこまで考えたところで、寝室の窓がかつんかつんと鳴った。ちょうど立った入口から顔をあげる。
ヒバリと眼があった。
あっ
ヒバリがいる。
窓の外に。

「ちょ、お前ここ何階だとおもって…」
あわててベッドにのぼり、窓をあける。夜はいたって静かで、まさか歩いてきたんじゃないかと嫌な考えが脳裏をよぎった。
蝋みたいに蒼白なヒバリの顔。そろりそろりと現れた全身は包帯でぐるぐる巻かれ、痛々しいというよりは逆に滑稽だ。
「…かっこわりい」
「せっかくあいにきてあげたのに」
こいつの動力源てなんなんだろう。病院でゼンマイでも巻かれてきたか?
でも、ヒバリ、久しぶりに見るヒバリだあ…。
「寝てなくって、善いのかよ」
「きみがちっともこないから」
きちゃった。ヒバリが、動いて、しゃべってる。
そっか、帰ってきたんだ。
「おかえり」
おかえり、ヒバリ。
生きててくれて、善かった。





「こえをきかないで、眠れるわけないじゃない」
07/03/22

ひばごくのヒバリちゃんは死なない


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