Trichophilia
毛髪愛好
※髪の毛に性的興奮を覚える人
Trichophilia
毛髪愛好
もふもふ。もふもふ。
もっふもふもふ。
いつまでこうされてるんだろう…。
シードルはいつもこうだ。
ずーっと、俺の髪をもふもふしてるだけ。
せっかく、制作していた絵を描き終わったって言うから家に来たのに。
いや、うん。
俺だって自分の髪は好きよ?
何も手入れとかしてない割にはキレイだ、とは思ってるんだけどな?
一日中モフる気はない。
一日中、そう、一日中だ。
文字通り、シードルはホントに俺の髪を指で梳くだけで一日を使う。
なんでも、落ち着くそうだ。
せっかく恋人が家に来ても、そう。
梳く以外に、たまに俺の異常な量の髪(自覚はしてるさ)に顔をうずめて、それはそれは幸せそうに笑う。
すんすん嗅いだりもする。
汗くさいだけじゃねーの、と前に聞いたことがあるが、カシスの匂いしかしないよ、と言われた。
ちょっと嬉しかった。
今だって、シードルは俺の背中を包むように俺を抱きしめながら、首筋の髪の毛に夢中だ。
でもな、こんなに近くに恋人がいるのに、人肌恋しいだとか、今夜は寝かさない的なことはしないのか。お前は男か本当に。
…いや、でもシードルはお袋さんを亡くしてるんだ。
シードルが望むのなら、俺はお袋さんが与えきれなかった分の安らぎをシードルに与える覚悟はある。
恋は盲目。よし。
でも、…な。
覚悟はしてる、してんだけどさ…。
ああ、まただ。
俺の髪をオナニーにつかうのは、マジでやめてくれないか……!!!!
匂いを嗅ぎながら、ぐらいならまだ許そう。
髪の毛で扱くな髪の毛で!!!!
あぁ、首筋に当たる息が生暖かい。
馬鹿かシードルは。
俺ならそんなこと、絶対、しない!!
チクチクするだとか考えねーのかシードル…。
あ、ダメだ。
シードルのテンションが上がっていってる。
息が荒くなってるし、もう何言っても聞こえねえや。
何日も、ああでない、こうでないと、キャンパスとやらに向かって絵の具をぶつけてたのだから、疲れが溜まってたんだろう。
他のものも溜まってたんだろうな。
それを、何故俺自身にぶつけないんだ。
何故髪の毛なんだ。
正直、俺の方が限界に近かった。
絵を描くのってこんなに時間がかかるなんて、俺にはサッパリわからなかったから、もう溜まりに溜まってんだ。
二人で求め合うことを知って、一人でするのが虚しいと感じてからはずっと半オナ禁状態。
…あと、キャンパスに向かうシードルは、ホントにかっこよかった。
女みたいに、抱かれたいって思ったくらいだから、相当だ。
言ってくれたら、いや、言わずとも処理くらいするのに。
むしろ、させてくれない?
なんて考えたら、後ろでシードルが小さなため息と共にビクッと震えた。
あー……うん。
髪の毛についたな。
視界の端に映るのは銀色の髪と、にぶい白濁の液体。
こっからじゃシードルの顔は見えないけど、きっと今の表情は恍惚って感じなんだろうな…。
必死に息を整えてるのが背中越しに伝わる。
これ、どうしよう。
いつもならすぐに風呂に入って洗い流すんだけど。
シードルが離してくれない。
早くしないとカピカピになる。匂いもきつくなるし、何よりなんか嫌だ。
シードルに愛されたのが自分だとはいえ、髪の毛だし…。
嫉妬するのが髪の毛ってのも、虚しい話だ。
もしかしてシードルは変態なんだろうか。
いや、でもちゃんと俺のこと好きって言って、キスしてくれたし抱いてくれた。
これは…変態じゃないよな。普通普通。
な、そうだよな、シードル!!
「……まあ、その後バッチリ三発はヤッたんだけどさ…。
やっぱ、シードルって変態なのかなぁ。
髪の毛に興奮するとか、俺にはわかんねえ…。
どう思う?ガナッシュ。」
「帰れ。」
(シードルは勿論変態だが。)
(カシスはそんな変態に惚れた変態だ。)
(何より、男同士って時点で変態だ!!気付けバカップル!!!!)
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