(ちっちゃいディランディズ)


小さい頃、よく兄さんに子守歌を歌ってもらっていた覚えがある。
布団の中に二人で潜りこんでお互いの手をにぎりしめる。それから兄さんがおれに子守歌を歌ってくれたんだ。
いつも同じところで音を外すので、それを指摘してやると「じゃあ、ライルが歌ってみろよ」と言われた。少なくとも兄さんより歌は上手いという自信があったのでおれは兄さんに聞こえるように子守歌を歌ってやった。
すると兄さんは眉を寄せながら「そんなの子守歌じゃない」と不満げに言った。


「なんで、兄さんがいつも歌ってるのと同じだろ」

「違うよ。だっておれ全然眠くならないもん」

「そんなの、ただ兄さんが眠くないだけじゃんか」


「わけわかんないよ」と言って、おれは兄さんの手を離し布団に包まった。
眠くならないからそれは子守歌じゃないって意味不明。そうだ兄さんはいっつも理解出来ないことを言う。

「だってさライル」

「なに?」

布団から顔をだして声が聞こえたほうを向く。


「子守歌って聞いてたら眠くなるだろ?」

「ならないよ」

「母さんの子守歌でも?」

「母さんのでも」

「ならなんでおれが子守歌を歌ったら寝るんだよ」


それを聞いておれはおもわず笑ってしまった。
だっておれが兄さんの子守歌で寝てしまうのは歌っているのが兄さんだからなのだから。
別に子守歌のおかげじゃない。兄さんの声だから寝れるのだ。


「もうこの話しはやめよ。おれすごい眠い」

「わかった。おやすみライル」

「うん、おやすみ」

そしておれたちは手を握って布団の中に潜り込んだ。














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ニル→刹←ライの予定が気付いたらニル←ライになってた、よ
ライルはニールの声が大好きなんです。



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僕の世界は君のもの!











(20090313)


あきゅろす。
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