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僕だけの為に笑って


僕だけの為に生きて


ねぇ?


僕だけのルルーシュ


もう


誰にも渡さない


他に何も要らない


だから


どこまでも一緒に堕ちよう?










Re-surrection








「おはよう、ルルーシュ」
意識が揺蕩う、瞳へと笑い掛けて顔に張り付いた髪を梳く。
「ス……ザ…?」
眩しそうに顰められた表情に横たわるルルーシュへと身を乗り出し、自分の身体で光を遮り、影を作れば表情が和らぐ仕草が愛おしい。
「相変わらず、寝起き悪いね?」
苦笑しつつも、ゆっくりとルルーシュの意識が覚醒するのを待つ。
聡明な彼は、朝が弱いのだから。
そんな時間さえ幸福に思う。
見開かれた瞳に覗き込んでいた自分が歪んで映る。
「目が覚めた?」
あぁ、その事実だけで世界が鮮やかに意味を持つ。
凍り付いた瞳に自分が笑ったのを知った。
「なん、で!」
喉に絡まり、零れ落ちる声。
それは擦れて、酷く官能的な問い掛けで恍惚と聞き入ってしまう。
「僕が殺した」
死んだ筈…、そう続けたかったであろう言葉を遮って望む答えを返す。
「悪逆皇帝ルルーシュ、を」
当惑と混乱と絶望が均等に混ざった震える手は
それでも唯一、存在する眼前の自分に縋る。
力なく服に皺を刻む華奢な指を綺麗だと思う。
「だから」
君なら、もう判ったでしょう?
「ここに居る君は、ただのルルーシュだよ」
濡れた瞳をきつく瞼で隠して。
「っ…!」
舌を噛もうとしたルルーシュの咥内に指を入れてそれを阻むのはスザクの反射神経では苦もない。
「許さないよ、死ぬなんて。」
顎の関節に少しの力を込めれば簡単に顎の力が緩む。
「君は僕と一緒に生きるんだ」
唾液と噛み切られた自分の血を舐め取り、うっとりと囁く。
だって、僕のルルーシュなんだから。
そうでしょう?
泣きそうに歪められた顔が酷く愛おしい。
「愛してるよルルーシュ。」
狂おしい思いを滴らせた、それは呪いの言葉。
青白く、強張った表情。
それすらも美しい顔に指を這わす。
震える睫毛が、伏せられて一筋の透明な雫が白く滑らかな頬を伝う。
俯いたルルーシュが自分を見てくれるのを、待つ。
痛くなる程の沈黙。
呼吸の止まりそうな緊張感の中で無音の時が経過する。
それは余りにも長く、惜しむ程に短くも感じた。
永遠の刹那。
そしてとうとう震える身体を両腕で掻き抱き、葛藤をさ迷った視線と交錯すれば倒錯的な紫の瞳。
もう、そこに迷いや混乱はない。
スザクの愛した、迷いない潔い紫。
あぁ、ルルーシュという存在が今、目前に完全で完璧な形で在る。
ぎこちなく微笑みをかたどる唇。
それは、凄絶な契約者の微笑み。
ルルーシュの身体、そして心も全部。
今、やっと全てが手に居入ったこの瞬間。
ここに居るのは絶対的な支配者ではなく、悪魔と契約を結んだ美しい獲物。
ゆっくりと、所有の口づけを落とす。
絡めた舌の温度は、ルルーシュが生きている証。
頼りなく、痩つれた身体にしっかりと刻まれる鼓動を抱き締める。
もう、どこへも行かないように。




「生きて」



僕の為に。



僕の為だけに。





それはどこまでも純粋で狂気を孕んだ呪いの言葉。


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