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壊れ物の様ににそっと
宝物の様にずっと
貴方の愛に囚われる












Sweet Trap












「……ロイド」
白い手袋に包まれた手が左頬に添えられ、触れられればビクリと体が震えた。
見上げれば、その秀麗な顔を微かに曇らせているのを見つけロイドは心中で溜息を吐く。
「その顔だと、私の言いたい事は分かっている様だね」
微かに腫れの残る頬を意識させる様にシュナイゼルの指が辿る。
痛みはないが、触れられて不自然に強張る体は誤魔化せない。
「見苦しい顔を見せて申し訳御座いません……」
殆ど腫れは引いていたのに流石に目敏い。
反射的にぎこちない笑みを返せば更に眉を顰められてしまった。
「見苦しいだなんて思う訳がないよ……でも。私は独占欲が強いんだよ……それは知っているだろう?」
高貴な紫の瞳は穏やかな筈なのに、ロイドは胸を締め付けられる様な甘い痺れを感じて主に縋る手に力を込める。
縋っていなければ溺れてしまいそうな不安と、期待。
「……っで、んか」
甘い蜜に溺れて窒息してしまいそうな錯覚。
「君を責めている訳ではないよ」
いつの間にか手袋を外された手で髪を掻き上げられ、指先の温度を直に感じる。
「んっ…」
体を走る鋭い刺激に息を詰めた。
「君の傷も…結果は全て私の責任だからね。……この私だって失う事が怖いと思うのだよ?」
優しい言葉は呪縛となってロイドの自由を奪う。
「その首に、手に枷を付けて誰も知らない場所に閉じ込めてしまいたいのを一体どれだけ抑えていると思う………?」
「光栄です…」
首に掛けられた指に僅かに力が込められるのをされるがままに、艶然と微笑んで答える。
それは精一杯の虚栄。
「ずるいね…こうして捕まえているのに手に入らない」
貴方はそう言うけれど。
既に囚われている。
でも、まだ気付かれないように。
早く、貴方もここまで堕ちて来て下さい。
貴方に溺れている様に私に囚われて。


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