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Rodeo








「――――枢木スザクがユフィの騎士になっても手元に置いておきたいという事か」
「はい〜彼は良いパーツですからぁ」
「随分と気に入っているようだな」
「僕のランスロットの能力を最高に引き出せるのは彼しかいないので、必要だとはぁ」
「ロイド」
「はい?」
小首を傾げるその仕草が何故か良く似合う。
「私に、イレヴン一人の為に根回ししろとは随分と大きく出たな」
声を立てずに、ロイドが微笑む。
声を殺したその微笑みは、毒を滴らせた様に酷く妖しいものへと変貌していた。
「………いいだろう。お前の研究に必要ならば、通してやろう。」
「ありがとうございます……殿下」
パールホワイトに紫を一滴落とした髪が執務室に差し込む光りを反射し、装う事を止めたロイドの存在を浮き立たせる。
眩暈のするような違和感と既視感。
「しかし、それでは不足していると思わないか?」
カタリ、とロイドのメガネが軽い音を立てて重厚な執務室の机の端に置かれた。
「不足、ですか…?」
擬態を解いたその存在は軍事施設という場所に存在する事が酷く不自然に思える程に妖しく、そして異質に映る。
それは、普段巧妙に隠されたロイドの本質。
「ふふっ……遅くなると言って来て正解でした」
ふわりと微笑むそれはいつもと変わりない表情なのに、細胞から全てを造り替えた様に決定的に異なる。
「これもお前の予想通り、なのかな?」
「さぁ?」
その声は、しっとりと濡れて滴り落ちる。
低く掠れ、官能を引き出すようなそれ。
妖しく濡れて光を帯びる瞳は、見た者全てを官能へと誘う邪眼。
見慣れている筈の表情、仕草、全ての色が変貌する。
白衣が、床へと落ちる。
シュナイゼルを見つめたまま、躊躇う事無く脱ぎ捨てて足元へと跪いた。
伸ばされた、白い手袋に包まれた手に顔を擦り寄せてアイスブルーの瞳をうっとりと細める。
瞳が閉じられれば長い睫毛が頬に影を作り、更にその作り物めいた冷めた美貌が際立たせた。
「殿下…」
そのまま、シュナイゼルへと縋る様に口付ける。
それは殉教者の様に敬虔な、いっそ神聖とも言えるべき口付け。
しかし従順な態度でありながら、ロイドの細く白い指先がシュナイゼルのきっちりと着込まれた服へと這わされ、乱していく。
上質な絹の擦れる涼やかな音が鳴る。
手の込んだ衣装を崩すのは手慣れた仕草。
そして現れた均整の取れた完璧な体を、鎖骨から脇腹まで隆起を官能的に辿る。
人肌に温められた氷の瞳が微笑むと熱い舌で閉じられた唇を辿り、薄く開かれて許されれば今度は深く重ねる。
「ん……っふぅ…」
反応を返さないシュナイゼルの熱を煽る為に絡めていた舌を急に強く吸われて甘い吐息が部屋に小さく漏れる。
頤を持ち上げられ、うって変わって強引に奪われるそれにも喉を鳴らして受け入れる。
上顎の粘膜をざらりと舐め上げられ、溢れる唾液を嚥下しようとする動きに合わせて喉を手袋に包まれた手で撫でられ体を震わせた。
「ん、ぁっ…」
しゃら……
ロイドの胸にシュナイゼルの手が触れて金属質な音を立てた。
音を立てた銀色の光を反射するそれはロイドの左胸の突起を貫通し、両側から繊細なチェーンが伸びて薄いプレートが繋がり、揺れている。
精妙な彫刻を施されたプレートを弄びながら、規則正しく上下する心臓を確かめる様に手を這わす。
「で、んか…は……心配症ですね………っ」
軽くそれを捻れば、ロイドが小さく息を詰める。
「……心配?違うな。」
「んっ…」
「私のものに他人が触れるのが許せないだけだ」
「ぁ、あ……」
「お前が研究所に籠っているのかと思えば抜け出してフラフラするからな」
「あははっ……っあ、ん…それはっ……否、定出来ませんねぇ…」
まるで場違いな笑い声に艶を混ぜたロイドが答えた。
「お前の有能さは周知のものだが、この姿を見るのは私だけでいい」
傲慢な支配者の命令に微笑んで、いつものように答える。
「イエス、ユア、ハイネス……」


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