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唐突にベッドに突き飛ばされて、一瞬の混乱を招く。
事態を把握すれば、スザクとの圧倒的な体力差を見せ付けられたようで、屈辱感と劣等感を味わう羽目になった。
本来ならば自分の力を良く知っていて、加減を完璧にするのに。
「っ……跡を付けるなっ!」
首筋に走った小さな痛みにカッとなって振り上げた手はスザクの目のすぐ近くを掠めて赤い線を引いた。
「っう…!」
爪に鈍痛が残る感覚に予想以上に傷付けてしまったのではないかと後悔が過ぎる。
素早い条件反射で顔を離したスザクだったが、目の近くを傷付けたせいで出血が多い。
「いってぇな………君が、そんな事を言える状況だとでも思ってるの?」
頬を伝う血を、やや乱暴に指で拭って舐める仕草が肉食獣を思わせる。
部屋の明りで逆光になってスザクの表情が分からない事が怖い。
危険だと頭の隅で警鐘が鳴っている。
「ぃ、った………!」
ぎり、と纏め上げられていた両手首を強く握られて骨が軋んだ。
逃れようともがく足の間にスザクが割り入り、体重を掛けて押さえ込まれる。
「暴れんじゃねぇよ?」
力任せに制服を引き千切られる嫌な音。
制服の下のシャツも殆どのボタンが飛んで、だらしなく乱された。
「こ、の……!く………ぁ、あ…んっ」
頭上に縫いとめられた手首をシーツに押し付けられてスザクの眼前に差し出された突起へと舌が這わされれば、
罵倒は甘い悲鳴へと変わってしまい。
柔らかな唇に食まれ、顔を背けてその感覚から逃げる。
「ぁ――!」
起ち上がり、熱を持った突起を千切れると思う程に強く噛まれて短い悲鳴が室内を裂く。
「人の話、聞いてる?俺、怒ってんだけど。」
目の奥が熱くなり、じわりと目尻に水分が滲んで視界を霞ませた。
身体を折り曲げて苦痛を堪える事さえ許されない。
「このまま、食い殺してやろうか?」
ぐい、と頤を掴まれ視線が絡み合う。
胸から顔を上げたスザクの翡翠の瞳は澱んで、あんなにもくるくると変わる表情が無い。
低く掠れるその声は内容を疑うような優しく、甘い毒を含んだ声音で。
「う………」
気遣いの無い、頤を掴む指が肌に食い込んで痛い。
このまま、少し下に手をずらされて気管を圧迫されれば簡単に死が訪れる。
生殺与奪権は凶暴な獣の手の平の上。
本気で言っている、という恐怖で慄く一方、昏い欲望の灯火が身体の奥に疼くのは、何故。
「ひっ、ぁ………」
下肢の制服も剥ぎ取られ、隠す事の出来ない欲望の証が濡れて悦びを訴える。
「っは、とんだ淫乱だよね、君って。」
「っ………」
この現状を、はしたなく悦んで勃ち上がり掛けている自身を目にしてしまえば、否定のしようもなくて。
唇を噛んでその言葉に耐える、それは己に浴びせられた侮辱に対する無言の肯定。
自尊心に亀裂が入って崩れていくのに反比例する快楽は、目尻に溜めきれなくなった涙のように膨れ上がっては、零れる。
「こんな風にされても、イイなんて知らなかったよ。………今まで満足出来てなかったんじゃない?」
口汚く罵られて征服される、倒錯的快感。
辱められる程に高まるそれ。
「あっ…ゆ、許し…て………く、れ」
隠し事をしている劣等感がそうさせるのか、思わず謝罪の言葉を口に出していた。
「許してくれ、だって?………何を?」
自分でも何に許しを請うているのか分からないまま、ただスザクの雰囲気に気圧されていく。
しかし理由も聞かずに謝るなんて、本来ならばプライドに掛けてしない事は勿論スザクも知っている事で。
「簡単に謝るなんて随分プライド安くなったんじゃない?」
簡単に謝るその態度が気に入らなかったらしく、更に険しい雰囲気を纏って行く。
「そ、れはっ………く、ぅ!」
更に重ねようとした言い訳を遮られて薄い首筋の皮膚に歯を立てられれば、本当に食い殺されるような恐怖。
容赦なく付けられる獲物の所有印。
痛みが疼く躰を駆け抜けて、その中から甘さを引き出しては、更にそれが自分を追い詰める。
こんな事で、と思うのに自分の身体は確実に悦んで高まっていく。
湿った音を立てて首筋が解放され、再び這わされた舌の軌跡にチリチリとした痛み。
それを感じれば指先まで痺れが走って震えた。
恐らく出血しているのだろうそれは、愛咬というには行き過ぎたものなのに。
「俺が何に怒ってるか分かってないのに謝られてもムカつくだけなんだけど。………頭は良いのに、こういう所はほんと、イライラする。」
常では考えられない程に低く凶暴な声に、怯えと欲情が絡まった声で必死に訴える。
胸の詰まる様な罪悪感と支配されていく絶対の存在。
「ス、ザク…っ!」
身体が意志の制御を外れて情けなさに語尾が震える。
その助けを求めた声は予想に反して高く、官能に掠れた。
こんな声を出しても、スザクの言葉を肯定するだけで説得力がある訳無い。
「もぉ、いいや。言っても分からないんだから。……身体でだったら覚えられるんでしょ?」
無遠慮に中心をスザクの膝頭で腹に押し付けられただけで凄まじい快感が突き抜ける。
「ぁあっん!」
まるで発情期の雌犬のように甘く媚びを含む自分の声に冷たい視線を投げて。
その突き刺さる視線さえ鋭い刺激となって、持て余した熱を切なく肢体をくねらせてシーツに擦り付けた。
「ほんと、サイテー」
うつ伏せにされ、頭を押さえつけられる。
「っ、ぁやっ…!」
腰のみを高く上げさせられて、秘部を暴かれた。
ひくりと収縮するそこ。
「こんな格好で興奮するなんて、変態だよね。慣らさなくてもイイんじゃない?」
ひたり、とあてがわれた熱に静止を掛ける間もなく一気に貫かれた。
「や、やめ…っ!スザ………ヒッ、あ――――――――っ!」
目の前が真っ赤に染まって痛みが脳に突き刺さる。
「ぅ、ぐ………」
ボロボロと零れる涙が縋ってた枕に吸い込まれていく。
慣らされる事無く貫かれた秘部は強烈な痛みを伴い、全身が強張り、体温が一気に引いた。
まるで貧血の様に頭から血の気が引いて、その直後にガンガンと脳内に響く激痛。
「っは……ルルっ!」
それなのに。
苦しいのに、肉棒をキツく喰い締めているそこが、背後で聞こえるスザクの低い声に反応して誘い込む様に収縮し始める。
「ぁぅ……ふ、くう………っん!」
スザクを受け入れているというだけで、ざらりと快楽が全身を舐めるように襲い掛かる。
早く動いて奥まで突き上げて欲しい、狂おしい衝動。
「ぁ……う、ごいて………」
望みを口にすれば痛みの為ではなく、涙が零れた。
余りにも惨めで、それでも体の奥を滅茶苦茶に突いて掻き回して欲しい。
「この、淫乱」
侮蔑の言葉と共に自分の快楽だけを求める為に律動を始めた。
「あ……あ、ぁんっ!」
引き攣る痛みが伴ったけれど滑る血液と内壁を硬い肉棒で擦り上げられる快楽が、それを遥かに凌駕する。
溢れて止まらない涙は痛みか劣情か。
スザクの肩に縋る事が出来ない代りに、目の前の枕をきつく抱き締めた。
「はぁ、あっ……ス……ザク、スザクっぁあ!」
それでも、もっと深く感じたくて激しく攻め立てるスザクの動きに合わせて淫らに腰を振る。
もっともっと、自分の全てをスザクで満たして、埋め尽くして欲しい。
痛みは劣情へと、そして強烈な快感へと体が変換しては精神を貶める。
消え入りたい羞恥と意識を真っ白に喰らい尽くす感覚に滅茶苦茶に乱されて、意味の無い嬌声を散らす。
「ル、ルーシュッ………!」
「ひっ…ぁ、あ―――――――!」
低い声が耳朶に直接吹き込まれてスザク自身を喰い締めながら達した。






―――――もう、今までの関係には戻れない。
泣き腫らして火照った頬にまた、生暖かい涙が伝うのを遠くに感じながら思考を手放した。





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