[携帯モード] [URL送信]



夏と言えば何を連想するでしょうか。海?スイカ?向日葵?カブトムシ?いやいや、もっとあるでしょう。夏休みを根刮ぎ使い体力を奪っていくものが。
そう、合宿と幽霊です。




「ここの合宿場には幽霊が出るんだってよ。」
「ゆゆゆゆ幽霊!?」
「どもりすぎだ平助。」
「女の霊だっけ?」
「そうそう、殺されたんだと。」
「いやいやいやいやいや!ないない、さすがにそれはないあははははは!」
「うるせぇなこいつ。」
「斎藤ー縄持ってるか?」
「ああ」
「ごめんなさいすみませんごめんなさい」

「まったく、騒がしいね。幽霊とか出るわけないのに。ねぇ千鶴ちゃん」
「………………………」 「千鶴ちゃん?」

(ゆっ幽霊………)

「ちょ、汗凄いけど大丈夫?」
「大丈夫でござりまする」
「だいじょばないよね」


空からは太陽が照り付けているのに、全く暑くない。むしろ冷や汗が止まらない。沖田さんが何か言ってたみたいだけど全然聞こえなかった。


「おい、速く歩け、練習時間が減るだろうが」
「願ったり叶ったりじゃないですか」
「よーしお前は今日の練習楽しみにしとけ歩行不能にしてやる」
「部内でいじめはまずいんじゃないですかね」


そうだよね、気合い入れなきゃだめだよね。みんなをしっかりサポートしなくちゃ。ぱちんと頬を軽く叩いて切り替えた。














──────


夕方


「は、腹減ったああああ」
「もう無理だ死ぬわお先」
「待て待て待て、どこ行くきだ」
「なんか綺麗な川がみえてさ」


とてもハードな練習が終わりみんなくたくた。マネージャーでも汗びっしょりだしお腹はぺこぺこ。そう考えるとみんな凄いなぁと思う。

その後は貸し切りの風呂場(女の子一人しかいないから)に入って、みんなでご飯を食べた。お風呂の時は沖田さんが「ちづるちゃーん!」なんて叫んできてびっくりした。便乗して平助くんや永倉さんも声を飛ばしてきて、土方さんの怒鳴り声と一緒に痛そうな音がした。

夕飯ではあっという間におかずがなくなっていった。仁義なき、っていうのはまさにこういうことだなって思いながら片付けをした。

していたら……

「怖い話しようぜ」

ゴン!

「え、千鶴ちゃん、何でぶつかったの?」
「いや、あの、何か分かる気がして」
「何も悟れないよ絶対」


誰が言いだしたのかは知らないけれど、ちょっと、待って!せめて私がいなくなるまで待って!


「俺先輩から聞いたんだけどよ…」



ひいいいい!!








────────










「おいおめーら、そろそろ部屋行けよ……って千鶴どうした。」
「いや、怪談話してたらこうなっちまって…」
「怪談話……おら千鶴、部屋行くぞ」
「は、はい」


じ、地獄かと思った……。


「この合宿場の窓って人影映りそうだよね」
「総司くん!そういうのやめろい!」
「君は誰」


暗めの廊下をみんなで移動。あああ、これ一人でトイレなんか行けない。私の部屋はみんなの部屋の隣の隣の隣。……何故こんなに離れているか分からないけど、怖すぎる。

「じゃあな、」とみんなと別れて部屋に入った。部屋は静か過ぎて怖すぎる。

「は、早く寝よう……」

ささっといつもの私じゃありえないスピードで布団を敷いて潜りこんだ。パチ、パチと電気を消したら時計の音が響く。大丈夫、私は疲れてるからすぐ寝れる。



『この合宿場の窓って人影映りそうだよね』



沖田さんの馬鹿ああああああ!!暑いのに更に潜りこんで顔を隠した。どうせならみんなと同じ部屋がよかった!

ガタッ

「(!!ややややめてええ!!)」






そのちょっと前の男達


「よし、続きな」
「もう良いよおおおやめてええ!」
「うるさいうるさい。往生際が悪いんだよ。」
「俺ちょっともう千鶴のとこ行ってくるから!」
「いいわけないだろ」
「斎藤抑えろ」
「承知」
「何で従うのはじめくん!」
「おめーらやるなら静かにやれ!」
「土方さんやめろって怒ってよ!」


平助の嘆きなんて聞きいれて貰えず怪談話は始まる。


「俺の友達の友達がな、物件を探してたんだだよ」
「ベタな…」

と思いつつも、どんどん進んでく原田の話に飲まれていく男達。平助以外は盛り上がっていく。外は風が止んでいた。

「"あれ、おかしい"今日越してきたばかりなのに、何で何故か風呂場は濡れている。」

「それから座ってると、ぺた、ぺたって足音が聞こえてきた。ゆっくり、ゆっくり」

「恐怖が滲んで体が動かない。すると足音が止んだ。首を、ゆっくり、後ろに向けた………後ろには「ぎゃああああああ!!

「おいてめぇ平助!一番いいところで何で叫ぶんだよ!そっちにびびっちまっただろうが!」
「はは、まぁ仕方ねぇよ」
「布団にくるまって暑くない?」
「土方さん怖くないんすか?」
「俺ァそういうのは信じられねぇ主義でな。」
「俺も、自分の目で見れないものは信じねぇ」
「……おい」
「何斎藤くん、トイレ行けなくなった?」
「違う。


…………足音、聞こえないか?」

「「「「「……………え?」」」」」



ぺた…ぺた…



「……ほんとだ」
「いやいやいや、どうせ土方さんだったーとかそういうオチだろ?あははは」
「いや俺ここに居るから」

「「「「「「………………」」」」」」


足音はだんだん大きくなっていく。そして、ぺたり。彼らの部屋の前で止まった。



「(お、おいおい嘘だろ?)」
「(ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい)」
「(やめろ平助!余計怖くなる!)」
「(……始めに言ってた、女の霊じゃない?)」


全員がまさか、と思ったその時、襖が静かにあいた。




すー…

















「あの…」

「…………へ?」


聞こえてきたのは聞き慣れた声。


「ここで、寝かせてもらってもいいですか…?一人怖くて……」
「ち、千鶴?」
「はい、」


一気に脱力した。各々、身構えてたり布団に潜りこんでたり謝り続けたりしていて、それはそれは酷い力の抜けようだった。


「千鶴かああ…」
「やっぱりダメですよね」
「そんなことねぇから!ほら、誰の布団がいい?」
「いや誰の布団もダメだから。たしか、もう一つ布団があったはず。それ出せ」
「すみません…」


おずおずとする千鶴に誰もが可愛いと思ったことだろう。


「そろそろ消灯だ、電気消すぞ」


パチ、


「(はぁ、よかった)」







(一瞬で消しとんだ夏合宿)




(おはよー)
(おはようございます…)
((可愛い))
(なぁー、昨夜俺の手ー引っ張ったの誰?凄い力で超痛かったんだけど、左之さん?)
(いや、引っ張ってねぇけど)
(つーかお前端っこで俺達に背中向けてたじゃねぇか)
(……え、じゃあ…)
((((((…………え))))))



20090815
無気力少年。

さらさ様へ!相互記念。
(何だこのオチ)
千鶴ちゃんはもう男達の部屋くるだけで大変でした。






――――――

朝夷さまから相互記念をいただきました!

幽霊、ほんとにいた…?(笑)
朝夷さまのかかれる学パロみんないきいきしていて大好きです!土方さんと総司の絶妙な掛け合いや、みんなのわいわいとしたやり取りがほんとに好き。

リクエストを叶えてくださって、そして素敵なお話をありがとうございました!


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!