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 大きくなったら何になりたい?
 貴方の夢はなんですか?
 
 お嫁さんになりたい女の子はいても、お婿さん旦那さんになりたい男の子はほとんどいない。
 大抵何かの職業か社会的な役職。
 聞く方もそういった答えを期待する。

 小さな頃からやりたい事を決めてそれに興味をもって知識を得ていくのはとてもいい事で大事なんだけど、なんのために自分の興味ある職に付き、社会に貢献するのか。
種の基本は子孫を増やし繁栄する事だから。
 人の幸せの基本は家族を作りその家族が豊かに暮らせる事だったはず。
 そのために職に付き自分達家族の暮らしがより良くなるよう社会に貢献するのでしょう。
 当たり前の事だからか、そんな事ちゃんと教えてもらわなかった気がする。

 家族の暮らしを良くするために家族から離れ、子供の幸せのために子供に寂しい思いさせる。仕事のストレスを和らげるために伴侶を探す。仕事があるから結婚できない。本来の目的が逆になってきてないかな。
人口が増え過ぎてる今、それも自然の摂理として必然の事なのかも知れない。




 秋も深まり柿の木もすっかり葉を落としてしまった頃、倉の扉の上の方で…

 「わたしは強い兵士になりたい」

 「わたしは職人になって城を大きくしたい」

 「そうですか 皆さん、そのように励みなさい」

 大勢の子らの前で答える女王の瞳は憂いにあふれている。
 (もうとうに現れても良いはずなのに…)

 「これで全てか?」

 「はい!…あ、いや、もう一名いるにはいるのですが…言う事をきかず規律を乱し、とても女王様がお探しになってるような…」

 「なんとっ! 早くその子を連れてまいれっ!」



 「おお! 来たか… お前は何になりたいのだ」

 「おかぁ… いや女王様!俺、旅に出たいです!
どこかで俺を待つ奴がいる気がして、探しに行きたいんです」

 「この子を隣の部屋で丁重に育てよ」
 (やっと来た!やっと現れてくれた… わたしの使命を果たす事ができた)




 ひっそりと羽音ひとつ聞こえなくなった倉の軒下の大きな蜂の巣から、一匹のオスの蜂が出て行く。
 春に出会う相手を夢に見ながら、長く厳しい冬をたったひとりで過ごすのだ。


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