You☆are☆fascinate〜3〜
「鎌之介、明日の舞は中止じゃ」
「は?」
いきなりそう告げられたのは夕餉の時だった。
中止と言われて、一ヶ月練習してきた舞を披露出来ないのは舞手にとって苦痛でしかない
『バキッ』
無意識に手にしていた箸を折り、告げた本人を見て不服を言い放つ
「なんでだよ!俺の舞が悪いからじゃねぇよな?!アナだって褒めてたじゃねぇか!」
チクショウ…一ヶ月の練習…
俺は舞しか特技がねぇのに…
これじゃあ…また…
『何も取り柄がないのねぇ』
『クスクス…幸村様も早く捨ててしまえばいいのに…こんな役立つ』
幼い時…武芸をアナと伊佐那海と共に学んでいた
しかし、鎌之介は隙ばかりで誰にも勝てなかった
それを見ていた大人にそう言われてしまう…
その過去から逃げるように武芸は辞め、舞のみ磨いた。その成果が明日の披露で見返せると思っていた鎌之介は絶望してしまう…
「鎌之介、これには理由があるの。明日はヤバイのよ…だから…」
庇うように話す姉であり尊敬するアナを鎌之介は涙目で見つめた
「ヤバイって…何がだよ…」
「明日はね…例の族が舞を見に来る客と…鎌之介を捕まえに来るって通達があったからよ。だから父様も心配して…」
涙を流す鎌之介をあやすように頭を撫でてやると少しだけ落ち着いたのか小さく「わかった」と鎌之介が呟く。それを聞いてアナと幸村は安堵する
「そーいえば伊佐那海は…」
ご飯なのにいないなんて…
クイクイッ…
「鎌之介?」
「ここにいる…」
指を自身のひざ元を指し、アナは視線を下にやると…鎌之介の膝で眠っていた
「あらあら…」
苦笑しつつ頭を撫でてやると伊佐那海の頬が緩む
三人のほほえましい光景を幸村も微笑みながら眺めていた
「あっ、そうだ!鎌之介、明日はわしに舞を見せてくれぬか?屋敷内ならば族も入り込まぬじゃろう。な、どうだ?」
「…父上に?俺はかまわねぇけど…アナと伊佐那海の舞は見てやらないのかよ…」
伊佐那海とアナを交互に指差して幸村に言う鎌之介をアナは苦笑して
「私は座敷があるからちょっと無理なのよ。ありがとう鎌之介」
「////いや…アナの舞…あまり見れないからさ…でも無理なら仕方ないよな…」
しょんぼりと肩を落とす鎌之介にアナは
ちょ…もうっ…可愛いわね…////
「仕方ないわねぇ…そこまで言われちゃ舞ってあげないと…ね?」
「ほんとかっ!!やったぜ!」
半年ぶりに見れるなんて幸せすぎる!
早く明日にならねぇかなぁ〜…
夕餉を食べることを忘れつつ、鎌之介はアナに明日どんな舞をするのかとか自分より先に舞うなーと色々と話し込んでいた
その様子を遠目から眺めていた幸村はと言うと…
「わしの為に…はぁ…まぁよいか…鎌之介の好きにさせるかのぅ」
自分の膳を平らげ、微笑みつつ鎌之介達を眺めていた
TO BE NEXT....
2012.03/05
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