朝。
目が覚めて。
隣に君がいる。
それが幸せ。
ヒトとしての幸せ。
幸せってもっと凄いことなのかもしれないって思っていたけど、こんな近くに、幸せと感じるものがあるんだね。
そんな幸せに浸る。
変わらない一日の始まり。
シンジ君が目覚めて、おはようと笑う。
僕も笑っておはようと返す。
穏やかな時間。
でも、
携帯を手に取り時間を確認したシンジ君は真っ青になったかと思ったらがばっと布団から飛び起きた。
「うわっ学校!…ったー…ち、遅刻…カヲル君、起きてたならなんで、なんで…お、起こしてくれたらよかったのに…っ」
腰を押さえて若干目尻に
涙を浮かべながら訴えるシンジ君。
思わず笑みが浮かんでしまう。そんな原因を作ったのは僕なのに。
「君があまりにも気持ちよさそうに寝ていたから」
起こすのがもったいなくて。
そこまで口にするとシンジ君は戸惑ったような表情で、その頬を淡い桃色に染める。
でも、はっと思い出したようにシンジ君はすぐに焦ったような表情で、ベッドの隅に丸まったシャツやズボンを手に取っている。
そして、時折腰をさする仕種。昨日無理させてしまったかな。
僕も学校に行く支度をしなければいけないんだけど、ついシンジ君の行動を観察してしまっていて(かわいくてね)そんな僕を不思議に思ったらしいシンジ君が動きを止めて僕を見る。
「カヲル君、あの…準備、しないの?」
「そうだね…」
時計を見れば急げばギリギリ授業には間に合う時間。
遅れたとしても、シンジ君と仲良く遅れてすみません、というのもいいかもしれない。
でも、きっと、シンジ君は走るなんて今日は無理だと思う。一週間ぶりだから、その…僕も昨日は歯止めがきかなかったし…シンジ君の体には結構負担がかかってしまったんじゃないだろうか。
手を伸ばしてゆるくシンジ君の手を握って引いてみる。
僕の意図が分からないシンジ君は僅かに戸惑ったような表情で。
「今日は寝ていよう?シンジ君」
「えっ、でも…」
「体、辛くない?」
「それは…」
一気に真っ赤になる辺り、昨夜のことでも思い出してしまったんだろうか。
やっぱりかわいいね、シンジ君。嘘がつけないところ、そういうところも好きだな。
「…僕が今日はシンジ君と寝ていたいんだ…ダメかい?」
「…ううん」
言葉を変えると照れ臭そうに笑ったシンジ君が了承してくれて、僕の隣に座りなおす。
「じゃあもう一眠りしよう、シンジ君…僕がセカンドに連絡しておくからさ」
おいでとゆるく腕を広げてみれば、一瞬目を丸めたシンジ君がすぐに笑みを浮かべて僕の腕の中へ。
肌に触れる髪がくすぐったい。
遠慮がちに僕の体にまわされる腕もくすぐったい。
「じゃあおやすみ、シンジ君」
まだ朝だけど。
そっと髪の分け目に口付けを落とすと回された腕が強くなった気がした
そしてお返しとばかりに胸板に感じる唇の感触。
幸せだな
自然と思う『幸せ』
ゆるくシンジ君の髪を撫でながらセカンドへ先生に学校を休むと伝えてもらう為に、空いた手で枕元の携帯を取った。
最近知った番号。
増える繋がり。
「カヲル君」
「ん?なんだい?」
「…起きたら、お昼作るからね」
「楽しみにしてる」
もう一度、髪に口付けてから僕は携帯の通話ボタンを押した。
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ジグソーパズル2の続きっぽくしてみました!
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