すぐ後ろにシンジ君がいる。
席替えなんて必要な制度なんだろうかなんて考えたりもしたけど、これなら案外席替えも悪くない。
授業を受けながら、
すぐ後ろの君を想う。
君の視線がなんだか心地いい。
「カヲル君」
「ん、なんだい?」
小声の僕にしか聞こえないであろう呼び掛けに、後ろを振り向くと怒られるから、前を向いたまま。
椅子を少しだけ後ろに近付ける。
「このあとのお昼休みだけど」
「うん」
「カヲル君のお弁当も作ってきたんだ…だから屋上で食べよう?」
「ふふ、いいよ…シンジ君のお弁当楽しみだな」
後ろでシンジ君の笑う気配。きっとうれしそうな顔をしているに違いない。
そして僕も。
小さな声で、二人だけの秘密を持つように。
あえて話すこの背中越しの会話が、
案外楽しいものだというのも
席替えで得たものの一つ。
些細な、
けど、とても幸せな
一時。
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漫画にしなかったネタの一つです。
小さなことも二人にとっては全て幸せだといいなあ
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