[携帯モード] [URL送信]

「ねぇ知ってる?うつ伏せより仰向けで寝る人の方が独占欲が強くて、仰向けより横向きで寝る人の方がより強いんです…ちなみに横を向いて何かを抱いて寝る人は更に独占欲が強いらしいですよ」


夜の行為を終え、ピロートークと題してまったりとしている最中のこと、僕の腕枕を大人しく受け入れ、腕の中に収まっている彼に、言い聞かせるようにいつもながら理屈っぽい口振りで呟いてみた。

つい先日、機関に提出する書類をまとめる間の息抜きに見ていたインターネットで目に留まった知識なのだが、僕と彼にすっかり当てはまっていて、嬉しくなったのだ。


唐突だが、僕は通常、彼に腕枕をしながら仰向けになって眠る事が多く、一方彼は、嬉しい事に…横を向き、僕の丁度腰辺りに腕を回し、抱き枕のようにして眠る。

付き合いたての頃は、僕に背を向けて眠ってしまっていたのに…今の彼は僕という人間に心を許しきった猫のようで、本当に愛らしく、ついついその寝顔を見つめてしまって、夜が耽てしまうなんてことも日常茶飯事で…寝不足気味になってしまうんですが、仕方ないことですよね…全く困ったものです。


「何を言い出すのかと思えば、どうした?深夜に理屈じみた事を言ったりして…」

「いや、つまらない話なんですけどね、キョン君がこうやって僕を抱いて眠ってくれている事が嬉しくなりまして。」

「全く…あぁ、そんなのはただもジンクスだ、アテにならん」

想像通り彼からは素っ気ない言葉が返ってくる。
ジンクスだとしても、僕の自惚れだとしても、構うものか。
そのジンクスがもしも正しいをするならば、僕よりも彼の方が僕の事を思っていて、独占欲を内に秘めているということになる、それはとても、とても喜ばしい事。

「まぁ、アテにならんとは思うが、あながち間違ってはないだろうな。お前は無駄に顔がいい、歩いてるだけでも見ず知らずの女子を誘惑してやがる…だから…その、恋人としてはいい気はせんだろう。」

「…は?それは…その、えっと…」

喜ばしい事だとか考えておきながら、彼にこうしてハッキリと気持ちを伝えて貰う事に不慣れな僕は戸惑いながら彼を見つめた。
彼はやれやれといった様子で苦笑いを浮かべる。

「この、鈍感!!お前と恋人なんて関係になってから3ヶ月あまり経つけどさ、俺のこと甘く見すぎなんだ…お前が思っている以上に…俺は、こうしてると安心するし、古泉の事独り占めしたいって思うし…あぁ、忌々しい!これ以上言わせんな!」

僕の胸に顔を埋めながらヤケになって言う彼。
髪の毛の隙間から見える耳まで赤くなっていて、彼が派手に赤面している事が見て取れる。
でも、さっきの言葉が嬉しくて僕の心臓もドキドキと煩いくらいに高鳴っているから、人の事は言えないな…。
深呼吸をしながら彼の柔かい髪を撫でる。
本当に、可愛い人だ。

「僕だって負けていませんよ。キョン君の全てを僕のものにしてしまいたい。許されないことだと承知の上ですが、僕だけのものだ。」

「…誰が許さないなんて言った、まぁ、俺が許してやる。」

「あはは、それは、頼もしいですね。」

あんな風に可愛い事を言われて正直僕はもう一度彼と繋がりたくなってしまったのだか、明日は体育の授業があると言っていた彼の体に無理をさせる訳にはいかない為、グッと堪えて…短めの前髪を掻き分けて音を立てて口付ける。
僕も横向きになって彼を抱きしめると、おやすみなさいと囁いて瞳を閉じ眠りについた。

**
古キョン処女作。
デレてても男前なキョン君が好き。
Twitterの呟きを見て書かせて頂きました。

2012.3.31





あきゅろす。
[グループ][ナビ]
[HPリング]
[管理]

無料HPエムペ!