ゆめうつつ2
相変わらず酔って帰ってきた銀さんの唇を借りる、という行為は続いている。
キスをしたい、という気持ちが有るためか銀さんが晩ごはん時から外に出て帰って来ない日は自然と泊まる流れを作っている。
神楽ちゃんは神楽ちゃんで晩ごはんの片付けをしなくて良いアル、と言って特に気にしてはいないようだ。
神楽ちゃんが10時頃には寝て、12時を回りそうな頃に銀さんは帰ってくる。
午前様じゃないぞ、偉いだろ、との事らしい。
銀さんなりのこだわりが有る様で、12時を過ぎて帰ってきた時は僕が介抱しているとボソボソと「酔った長谷川さんを介抱していて…」と言い訳をする。
毎度聞く言い訳なので初めの頃はそうだったんだろうけど。
でも僕に言い訳されても、はいはい、と答えるしか無い。
「銀さん、うがいだけでもしてスッキリしてから寝た方が良いですよ」
そして寝かし付ける時の文句がこれだ。
「ああ、うん、そうね」
銀さんは毎度納得して直ぐに洗面所へ向かう。
僕の魂胆を知ってか知らずか(知らないに違いないけども)銀さんはダルそうにしつつも、しっかりうがいはしてる。
終わった頃に見計らって寝室まで肩を貸して、着物を脱いだらハンガーに掛けてやる。
酒が入ると眠いのか2〜3分で気持ち良さそうな寝息が聞こえ出すのは毎度の事だ。
いつものように枕元に座ると暗闇の中でそっとキス。
唇を離して着物の袖で拭こうとした瞬間に銀さんの手が伸びてきて手を掴まれた。
「え」
「ちょっとそれやっぱ悲しいよ」
じっと暗闇の中で見つめられる。
銀さん、起きてた??
「口拭かれんの結構ショックなんだけど」
「………」
「…キスしてんの知ってっから、うがいはしっかりやってやってんだぞ」
バレている。
いつからなのか。
「お給料払ってないからって銀さんの柔らかそうな唇で徴収かね。新八くん」
「………」
かねがね、合ってはいる。
恥ずかしくて耳まで熱い。
「ごめんなさ、ぶ」
謝ろうと言葉を出したのにキスをされた。
「んぶ」
舌が。
少しお酒の味。
混じる。
僕と銀さんの唾液。
ふ、ふ、と鼻息が掛かる。
擽ったい。
僕はされるがまま。
初めてのこと。
唇が離れると銀さんは顔を合わせずに直ぐに布団へと潜る。
「さっさと寝ろ、オレは寝る」
今度は、舌にとりこ。
続
初出
平成19年10月10日
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