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倒錯


若気の至りで天人と戦ったりしていた訳だが。
男で群れているせいか倒錯した奴等が一部居た。
この場合における倒錯っつうのは、男同士、つまりはホモが出てきた、ということである。
あの天人にケンカ売りまくるという戦争の後半は倒錯した族(やから)が大部分を占めていた。
オレも何人かに言われていたクチで、1人があんまりにもしつこかったので
「ヤリたきゃ蟹食わせろ」
って言ったら次の日にマジで食わせて貰える事になった。
しかも超というより、ドと表現したいぐらいの高級料亭でだ。
無理矢理連れていかれたが、そこは蟹を食わずに無言の断りで事なきを得ようとした。
だが。
カニしゃぶ。
焼き


蟹がこんなにも出て来てオレが我慢出来る訳も無かった。
我を忘れてガツガツと食った。
蟹ちょううめぇ。

そして、やはり蟹を食う時は無言になった。
蟹は人を狂わせ、一時の欲望(食欲)を掻き立てる。
蟹が憎い。


ゲップの味が蟹になるぐらいに食いまくり、デザートも食って落ち着いた頃にオレは立ち上がった。
「お勘定!じゃ、そういう事で」
仲居を呼んで相手が勘定している間に然り気無く逃げようとしたが。
「待たんき。おんし、約束が違うぜよ」
くそ、襖の前に立ち塞がりやがった。
オレは上座に座らされていたため、先回りされ易い。
計算か!坂本のくせに何でオレに盛りやがってんだ。
今更だがオレのしつこく言い寄ってきたのは坂本だ。
キャバクラにフーゾク、ソープに行きまくってて何でオレに盛るのか分からん。
天人が襲来して間も無く、戦争中にも関わらずこの手のモノが急速に進化した。
(その辺は天人に大感謝している)

「…何か約束なんてしてたっけ?」
「蟹食わせたらヤラせても良い、って言うちょったろうが」
「したっけ?オレ3日前の事は忘れちまう」
「…昨日の事も忘れたんか、おんしは」

やべぇ。
約束は昨日だし、坂本の顔がマジだ。
どう逃げりゃあ良いんだ。
男が叫んで助けを呼ぶなんて恥ずかしくて勘弁だしなぁ。
「……なぁ、男のオレよりも女の方がおっぱい有るし、女の方が」
「極めたら次は男を極めたくなったぜよ」

馬鹿じゃねぇの。何が極みだ!
その極みにオレを巻き込むなっつぅの!
それより呼んだ仲居、仲居は来ないのか!

ソワソワ落ち着かない様子で襖の外を気にしていると坂本が気付いた。

「残念ながらここは常連での…勘定は今度払う事にしてあるぜよ。…しかもこの後、仲居は来ん」

そういやさっきデザート持ってきた仲居に、目配せしていたのはその合図か。
スケベのために回すその知恵って、それはどうなんだ。
モジャのくせに。

そうでもしねぇと確かにオレ逃げるけど。


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